天国か地獄


 01

 その日、俺はぐっすりと眠ることが出来た。
 会長と話したことによって緊張が解れたからか、はたまた夜の校舎を散歩して体を動かしたお陰なのかわからなかったが、久し振りに気持ちの良い朝を迎えることができた。
 身支度を済ませ、会長がいるであろう生徒会室へと向かった俺。
 扉を開けばそこに会長の姿はなく、その代わりに見知った姿が二つあった。
 灘と五味だ。

「あ……おはようございます」

 なにやら部屋の隅でこそこそと話していた二人に声を掛ければ、ビックリした顔の五味と相変わらず無表情の灘がこちらを振り返る。

「お、おお。おはよう」
「おはようございます、齋藤君」

 なんとなく歯切れが悪い五味に、もしかしてタイミング悪かったかなと後悔したかもう遅いわけで。
 開き直って二人に近付いてみる。

「あの、会長は……」
「あいつなら少し席を外している。……すぐ戻ってくるかもしれんが、先に飯食っとけ。いつになるか分からないしな」

 俺の言葉に答えたのは、どこかばつが悪そうな五味だった。
 いつになるか分からない。その五味の言葉が引っ掛かったが、あまり深く立ち入りすぎても悪い。
 ……というか、飯って。どこにも見当たらないんだけど……。

「俺の方から用意させていただきました」

 もしかしたら食堂へ行けということなのだろうかと思った時、ソファーの影から大きな紙袋を拾い上げた灘はその中身をテーブルの上に広げた。
 惣菜パンから菓子パンまでずらりと並べられる多種多様なパンの数々に俺は圧倒される。灘のパン好きは健在のようだ。

「これ、全部……?」
「好きなのをどうぞ」

 とは言われても、流石に全部は無理だ。

「ありがとう。……じゃあ、これ、もらうね」

 とりあえず目に付いた適当なパンを手に取った俺は灘に声を掛ける。
 灘はなにも言わず、こくりとだけ頷き返してきた。
 残りの大量のパンはどうするのだろうかと気になりつつも一先ず俺は空腹を満たすためパンを口にすることにする。
 丁度、そのときだ。勢いよく扉が開いたと思えば、血相を変えた十勝が生徒会室へと飛び込んできた。

「ちょっ、ちょちょちょっと!五味さん!どういうことっすか!佑樹が……って佑樹?!」

 俺が生徒会室にいることを知らなかったようだ。
 ソファーに腰を下ろし、たった今朝食を取ろうとした俺に気付いた十勝はぎょっとした。

「あ、おはよう、十勝君……」
「おう!おはよう!」

「っ……じゃなくて、五味さん……もごっ!」そして、気を取り直して五味に迫ろうとしたとき、顔をしかめた五味に顔面を掴まれ強引に口を塞がれた十勝。

「わかった、わかったからお前ちょっとこっちこい」

 溜息をついた五味は面倒臭そうに唸るなり、そのままずるずるずると十勝を生徒会室の外へと引きずり出す。
 もしかしたら、俺の前では話せないということなのだろうか。十勝の血相が気になったが、わざわざ後を追うような真似も出来ない。
 残された灘と二人きりになった俺は、恐る恐る灘に向き直った。

「あ、あの、今、十勝君がいってたの……」
「縁方人が動きました」

 即答する灘に一瞬言葉が理解できず、「え」と俺は目を見開いた。
 縁方人という固有名詞に、自然と昨日の血塗れた縁の姿が蘇る。
 その縁が、またなにかをしでかした。その言葉に背筋が凍り付いた。

「今朝、昨日のラウンジの監視カメラの映像を弄ったものが職員室のパソコンに送信されたようです」
「……っ、ねえ、それって、まさか」
「縁方人が自分の腹を切った映像です」

「実物は自分も見ていませんが、今、会長が確認しに行っているはずです」あくまで淡々とした灘の言葉がゆっくりと俺の心臓を握り潰していく。
 どのような映像がばら撒かれたのかはわからないが、恐らく、縁のことだ。流出したものは俺が刺したように見えるよう出来ているはずだ。
 それが担任の手にも渡っていると考えると、息が止まりそうになって、頭がぐちゃぐちゃになる。
 しかし、灘の報告はそれだけでは終わらなかった。

「それと、一部の生徒にもその映像を切り抜いた画像が流失しているようです」

 そういって、灘は携帯電話を取り出した。
 画面に表示させた写真は鮮明で、目の前に立ち塞がった縁が、俺の手を取って自ら腹部にナイフを突き刺したときの写真がそこには写っていた。
 しかし、なにも知らない人間が見たら間違いなく俺が縁を刺し、縁がそれを抜こうと俺の手を掴んでいるものに見えるだろう。
 突き付けられた携帯電話の画面を見つめたまま、俺は動けなくなる。

「……校内の巡回は厳重にし、ばら撒かれてあった写真は全て回収したつもりでしたが、すみません。生徒同士のメールまで気を配ることは出来ませんでした」

 そして、目を伏せた灘は続ける。
 その言葉の意味を理解したとき、俺は全身から嫌な汗が滲むのを感じた。

「ちょっと、えっと、あの、……ごめん。ちょっと待って。…………え?」

 つまり、それってこの画像を何人もの生徒が見て、もしかしたら広がっているかもしれないということか。
 先程、血相を変えた十勝の様子を考えると十勝もこの画像を見たということだろう。
 誰の手に渡り、誰が見たのかもわからない。
 灘がどう頑張ったところで出処を調べることはできたとしても、新たに広がるのを防ぐのは難しいだろう。
 目の前の灘が落ち着いているからだろうか、不思議と落ち着いて結論出すことはできた。

「今、会長が職員室へ行っています。全ての事情がわかるまで、ここにいて下さい」

 相変わらずの態度の灘だが、僅かにその目の奥が揺らいでいる。
 灘も、打開策を考えてくれているのかもしれない。でも、無理だ。
 そう結論付けてみれば不思議と諦めた心は落ち着きを取り戻す。
 灘に「うん」と返事を返したまま、俺はテーブルの上に用意されたグラスに口をつける。
 乾いた喉に、ひんやりとした水が流れていく。その感触は、とても心地がいい。

「……心配することはなにもありません。君はなにも悪くないんですから」

 押し黙る俺が落ち込んでいるように見えたようだ。
 鷹揚のない声だが、俺を慰めようとしていることはわかった。

「食べて下さい。ゆっくりできる内に」
「……ごめんね。ありがとう、灘君」

 最初、冷たそうな人だと思っていたが、今ではよくわかる。灘はただ感情を出さないだけであって、心の中まで冷めきっているわけではないのだろう。
 わざわざ俺を気遣ったところで メリットもない。
 それでも、俺を気遣ってくれる灘の存在は心強い。
 出回った画像や映像のことは気がかりだが、一先ず会長を待とう。
 状況が分からなければ、俺も悩むに悩まれない。

 ◆ ◆ ◆

「くっそ、縁方人の野郎……っ!今度は佑樹をハメるつもりかよ!」

 生徒会室内。
 五味と何を話したのか、外から戻ってきた十勝は機嫌が悪くて。
 苛ついたように壁を殴る十勝に俺はびくっと反応する。
 あまり見たことがない怒った十勝に内心ドキドキしていると、見兼ねた五味は「落ち着け」とぶっきらぼうに言い放った。

「十勝、荒れんな。……お前がキレたってあいつらの思う壺だぞ。あいつのやり口はお前が一番知ってんだろ」
「だからだよ、余計頭に来る」
「……頭にきてんのはお前だけじゃねえんだよ、いいから落ち着けっていってんだろ」

 十勝なりに心配してくれているということだろうか。
 怒った十勝が怖い反面、自分のために怒ってくれているのだと思うとなんだか居た堪れなくなる。
 というか、十勝が縁のやり口を知っているってどういう意味なのだろうか。
 まさか、十勝も同じような目に遭った事があるということか。
 そこまて考えて、十勝がダブっていることを思い出す。
 まさか、と引っかかったが、中々聞き出せそうなな雰囲気ではない。

「でも、早く出回った画像、止めねえと佑樹が……」
「無理だ。人の口に戸は立てれねえ」

 悔しそうに歯を噛み締める十勝に、五味は静かに続けた。
 その声はやけに心に重たく響く。
 最悪の自体は、想定している。いつだって、もしもの可能性ばかりを考えていた。
 だからこそ、今更なにが起こってもパニックさえは起こさないだろうが、やはり、それを大人しく受け入れることが出来るかと問われれば即答は出来ない。

「……」
「……佑樹……」

 無言で俯く俺に、顔をくしゃくしゃにした十勝は心配そうに呟く。

「だぁあっ!くそっ!なんなんだよ、あいつ!佑樹は関係ねーじゃん!なんで……っ」

 怒ったように、悲しそうに、居ても立ってもいられないのか棚を蹴ろうとした十勝は寸でで留まり、その代わり、自分の髪をぐしゃぐしゃと掻き乱した。
 俺も、出来ることなら十勝のように怒鳴って回りたい。
『なんで俺なんだ』と。
『なんで俺がこんなことに巻き込まなければならないのだ』と。
 だけど、もう、そんな言い訳が、無関係という名詞か通用しないところにまで自分がこの厄介な揉め事に足を踏み込んでいるという自覚がある今、俺が出来る事はせめて皆の邪魔にならないようにするということだけだ。


 どれくらい時間が経ったのだろうか。
 本来ならばとっくに授業が始まっている時間だが、生徒会特権を駆使した五味や十勝、灘は相変わらず生徒会室で会長の帰りを待っている。
 十勝は今でさえ大人しいが、無言でソファーに腰を下ろす姿は普段からすると逆に不気味で、なにかを考えているように思えた。
 五味もなにも話さないし、灘はというと生徒会室に取り付けられたパソコンの前でなにかしているようだ。
 そして俺はというと、いつ学校から呼び出しが来るのかとビクビクしていた。
 いつもよりも騒然とした校舎内。
 未だ、それらしい放送もお呼び出しもない。
 しかし、その代わりにポケットに突っ込んだままの携帯電話は先程からずっと震えていた。

「齋藤君、どうしました?」
「いや、……ごめん、なんでもないよ」

「ちょっと席外してもいいかな」もしかしたら、会長からかもしれない。
 あまりにも途切れないバイブレータになんだか胸騒ぎを覚えた俺は、灘に断りを入れ、仮眠室へと移動した。
 携帯を取り出してみれば、画面には志摩の名前が表示されていた。

「……志摩」

 もしかしたら、志摩も縁との画像を見たのだろうか。
 いや、志摩ならば縁本人からなにか聞いている可能性もある。
 縁の怪我は、どうなったのだろうか。
 色々聞きたいことはあったが、先日喧嘩別れをしてしまったことを思うとなんだか電話に出ることが出来なくて、画面を見つめたまま俺は動けなくなる。
 すると、ようやく諦めたのかバイブレータが止まり、画面の志摩の名前が消えた。
 内心ほっと安堵したのも束の間。すぐに、電話がかかってきた。
 ……よし、やっぱり出よう。いつまでも意地を張ってたってどうにもならない。
 少なからず、こうして電話を掛けてきてくれるということは俺と話してくれるということだろうし……。
 どんな言葉で詰られようが、下手に出歩くことが出来ない今、少しでも情報が欲しい。俺は勇気を振り絞り、通話ボタンを押した。

「……もしもし」

 そう、なるべく緊張を悟られないようにトーンを落としたときだ。

『……ゆうき君?』

 受話器越しに聞こえてきたのは、想像したものと違う物静かな声だった。

「あっ、し……詩織?」

 なんで、阿佐美が。
 聞き覚えのあるその声に、慌てて携帯の画面を確認しなおしてみたら画面には登録していない番号が標示されているではないか。
 どうやら、志摩と勘違いして出てしまったらしい。
 電話の相手が阿佐美ということにほっとする反面、阿佐美と話をするための覚悟をしていなかった俺はいきなりの通話に戸惑わずにはいられなかった。
 そんな俺を電話先の阿佐美も感じ取ったらしい。

『うん、ごめんね、いきなり電話かけたりして……』
「いや、構わないけど、どうして携帯の番号……」
『前にね、あっちゃんから教えてもらったんだ。……ごめんね、ゆうき君には言ってなかったから掛けにくかったんだけど、ちょっと気になったから』

 そう、申し訳なさそうにする阿佐美の言葉に、どくんと心臓が弾む。
 あっちゃん。阿賀松。阿賀松が阿佐美に俺の番号を教えた。
 それがいつの時点かはわからないが、どちらにせよこうして阿佐美が連絡を寄越した時点で何れかは阿賀松のことについて話さなければならないことに変わりはないわけで。

「……あの、詩織、そのことで……」
『ゆうき君、俺、ゆうき君のこと、応援してるよ。……なにがあっても、頑張って欲しいと思う』

 勇気を振り絞り、自分から話題を切り出したはいいがどうも話が噛み合わない。
 なんとなく不安になった俺は「詩織?」と受話器に向かって声をかける。
 向こうで、ふっと阿佐美が笑ったような気配がした。

『それだけを、伝えたくて』
「え、あ……あの……」

 突然どうしたんだ。なんで応援?意味がわからない。
 どう返事をしたらいいものかと戸惑っていると、受話器越しにがざがさと耳障りなノイズが響く。
 そして、

『……だってよ、詩織ちゃんの心優しい声しっかり届いたかよ』
「っ!!」

 先ほどまで聞こえた柔らかい声とは違う、粘っこく絡み付いてくるようなその声に、全身の筋肉が強張った。
 ……忘れることもできないその特徴的な低い声は、間違いなく、阿賀松で。
 ただでさえドキドキと脈打っていた心臓は一気に乱れ始める。

『おいおい、愛しい彼氏に挨拶もねえのかよ、なあ?そんなにあっちのがいいのか』
「せんぱ、い……」
『そうだよ、俺だよ、ユウキ君』

 いつもと変わらない調子で軽薄に続ける阿賀松だが、その声はどことなくトーンが低い。
 俺が意識しているからだろうか、鼓膜へと浸透する声はこびり付いて離れず、嫌な汗がじんわりと背中に滲む。
 どうしよう、どうしよう、どうしたら、なんて言えばいいんだ。いや、言わなくていいのか。でも、俺、俺は阿賀松をハメたわけだし、でも、阿賀松だって悪いことしたんだからしょうがないんじゃないか。俺が謝る必要なんて、

「ユウキ君」

 その声で名前を呼ばれると、ぞくりと背筋が震え上がり脊髄反射で飛び跳ねそうになった俺は慌てて携帯を握り直した。

「あっ、の、ごめんなさ……」

 謝る必要なんかない、そう自分に言い聞かせるが、阿賀松という存在を散々刻み付けられた体は逆らえなくて、軽く混乱に陥った俺はとにかく阿賀松に謝る。
 すると、阿賀松は呆れたように笑った。

『は?なんで謝んだよ。全部お前が決めたことなんだろ?俺に謝る必要はねえよ』
「っ、でも……」
『いいんだって、別に。…………どうせこれからなにが起ころうと、全部全部お前が自分で選んで決めたことなんだからな』

 許してくれるというのか、と顔を上げた俺は聞こえてきた言葉にずんと全身が重くなるのを感じた。
 そうだ、俺が、決めたんだ。栫井を庇うためとはいえ、芳川会長に手を出すと。それが、どんなことを招こうとも。

「…………」

 改めてその事実を目の前に突き付けられたようで、首を絞められたような息苦しさが全身に襲いかかる。
 でも、自分で選んだんだ。それは阿賀松の言うとおりだ。
 状況とは言えど、栫井を見てみぬふりするとか選択の余地はあった。
 そう自覚してしまえば、何も言えなくなってしまうわけで。

『おい、人と話してんのに沈んでんじゃねえよ。……今回はな、そんな考え無しの甘い甘いユウキ君に朗報を伝えにくるために詩織ちゃんに電話させたんだ』
「……朗報……?」
『ああ、朗報だ。俺と取引したら、お前だけは見逃してやるよ』

 受話器から聞こえてきたその言葉に、今度こそ息が止まりそうになった。
 もしかしたら、こうして普通に話してくれるということは俺のことを許してくれるかもしれないから、なんて甘い考えを僅かながら抱いていただけに、俺にとって思いがけないその言葉に思考が停止する。

「……見逃す?」
『ああ、最後のチャンスだ。俺は方人の馬鹿共にお前から出を引くよう命令するし、他のやつらにも一切手出しはさせねえ。勿論俺も、必要以上にお前には手を出さない』

『まあ、ユウキ君が俺に協力してくれたらの話しだけどな』阿賀松に協力する。
 そうなれば、必然的に芳川会長を裏切るということに繋がっているわけで。
 阿賀松はまた、俺に芳川会長を裏切れという。
 俺を助けるという言葉よりも、その取引内容が俺の頭を占めた。
 そんなのって、そんなのって、おかしいじゃないか。阿賀松が俺を本気で信用してるとは思わないし、なにより、俺だけ助けるってどういう意味だ。嫌な予感に、血の気が引いていく。

「そんな、ちょっと待ってください……っ」
『待たない』

『俺は気は長くはねえんだよ』と笑う阿賀松。
 そして、一頻り笑った阿賀松は小さく咳払いをした。

『……栫井平佑。こいつの怪我、芳川知憲がしたんだろ?』

 唐突に出てきた聞き慣れたその名前に、心臓が弾む。
 なんで阿賀松が知っているんだ。
 というか、こいつって、まさか。まるでそこに栫井がいるかのような言い草の阿賀松に、ばくばくと脈打つ心臓が熱くなる。
 携帯を握る手が、いつの間にか濡れていた。

『簡単だ。お前が俺にしたようにアイツを裏切ればいいだけの話だ。ま、裏切るっつっても難しい話じゃねえ。ただ、あいつの背中を押してくれたらいいんだ。ちょっとだけ、強くな。そうしたら、あとは勝手に落ちるから。お前はただ知らないふりをしてればいい。あいつも、お前が故意だとは思わないしお前はなにも悪くない』

『なあ、悪くない話だろ?』不気味なくらい優しい声。
 阿賀松がどういう人間か知ってしまった今、その優しさはひたすら不気味で。
 会長を、裏切る。会長は俺を裏切ったことを知らない。全て、阿賀松に任せておけばいい。
 そうしたら、俺は平穏に過ごすことが出来る。
 魅力的すぎるほどに、魅力的な話だった。夢に描いたような話だった。
 だけど、また、人を騙すあの息苦しさに喉を詰まらせないといけないのならば、俺は……。 

『……おい、惑わされんなっ、こいつが約束守るわけがないだろ……ッ!』

 そのとき、受話器の遠くから聞こえてきた声に俺は頭を殴られたようなショックを覚えた。
 不機嫌なその声には、聞き覚えがある。

「栫井?!」

 なんで、栫井の声が電話が聞こえてくるんだ。
 まさかと想定していた嫌な予感が的中し、俺は目を見開いた。

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