短い短いごちゃ混ぜ | ナノ

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11/11(Mon):私の好きな人(進撃 ゲルガー)

目が覚めると向かいのベットにリーネの姿がなく、かわりにゲルガーが足を組んで難しい顔で書類を読んでいた。

「ゲルガー…?」

頭に浮かんだ言葉がそのままポンと口をついて出たら、ゲルガーが足音も立てずに静かにベットまで来てくれた。
「具合はどうだ?」
のぞき込む顔は微かに笑っていて、ほっとした。ゲルガーはこんな風に優しく笑うことも出来るんだなあ。いつもバカみたいに大きな声で大きな口を空けて笑うゲルガーとは全然違う人みたい。

「だいぶ、いいかな…。寝すぎで頭がぼやんとする」

下がり眉の優しい顔が、ふくふくとして厚い手のひらをほっぺにふわりと置く。乾いて少し硬い手のひらがあったかくて少しだけオイルの匂いがする。ほっぺから何時もと変わらないゲルガーを感じて安心してふかくふかく息を吐いた。

「少し水飲め。」
「水よりアルコールががいい…温かいワイン。」
「あ〜…すまんな、手持ちが無いんだわ。」
「あなた、本当にゲルガーなの?彼はコーヒーにだってミルクにもウィスキー入れるようなとにかく口にお酒が入らないとだめな奴なのよ。なのに手持ちが無いなんて…」
「おいおい。人を中毒みたいに言うなよな。恋人の見舞いに来るのに酒呑んでくるような奴じゃないぜ。勘弁してくれよ。」

ははは、と肩を上げておどけて笑うと少し待ってろ。と親指で眉を優しくなぞってベッドから離れる。
かちゃかちゃと食器を準備する音が耳に届く。暫くして戻ってきたゲルガーが2つコップを乗せたトレーをサイドテーブルに置いた。りんごみたいな匂いがふんわりと辺りを包む。
お腹と喉がきゅる。と鳴って突然、物凄い空腹感に襲われた。

「酒じゃないけど、カモミールティー。」
「いい匂い。ありがとう。嬉しい」

手渡されたカップ自体が熱を持っていて、お茶を淹れる時、コップもちゃんと温めるゲルガーの意外と丁寧なところが心をくすぐって笑ってしまう。ゲルガーは見た目や言葉使いはアレだけど、育ちが良い。とナナバさんが言っていた。
それは、姿勢が良かったり、字が綺麗だったり身だしなみがきちんとしている結構基本的なところからにじみ出ていて、いつも彼を明るい雰囲気が包んでいる気がする。

「嬉しい…。本当に。温かいねぇ…。」
「温かい内に飲めよ。美味いぜ。すぐ元気になる。」

いただきます。ゆっくりと口に含むとりんごの匂いに混じって蜂蜜の甘さが喉をゆっくり滑り落ちておなかを温めた。

黙ってぐいぐい飲む私に「気付け」と、茶色の小瓶をジャケットの内ポッケから取り出してカップに数滴垂らす。

暖かい匂いにブランデーが混ざって頭がくらりとした。ゲルガーは自分のカップにも入れて「おっ!やっぱ美味いな」と笑う。リーゼントのおっかな顔の男はイタズラが成功したがきんちょみたいに笑うから、なんだか可愛くて沢山わらったら、体がポカポカして元気がわいて来る気がした。



11/05(Tue):計算間違い(進撃 イアンとリコとアンカ)

「一発芸…ですか」
「ええ、急で申し訳ないのだけど…」
「私と、リコでですか?」

冗談じゃないぞ…そんなことできるか!とイアンが頭を抱える。もちろん心の中で。
「そうよ。2人ならと思って、お願いしたいの。」

アンカは言葉では申し訳なさそうな雰囲気だが、にこりと悪びれた感じもなく少女みたいにリコに笑いかける。自分の頼みを断れないリコを先に落としてしまえば、世話焼きで面倒見が良いイアンがリコを放っておけるはずがないと踏んでだろう。流石参謀…などとイアンがニコニコ顔のアンカを女狐め…と心内で悪態を付いた時だった。
「…う…アンカ殿の申し出なら受けない訳には…しかし…」
「リコ、正気か!?出来るわけないだろう!俺はすぐさま披露出来るようなものは用意してないぞ…」
リコのジト目が刺すようにイアンをみる。…しまった!と思ったときは遅い。
アンカのニコニコ顔がイアンを捕らえる。
「あら、じゃあ、今回は他の人にお願いすることにします。時間をあげるから、次回は2人、よろしくね」

イアン君ありがとう。リコちゃんもイアンと君と協力して頑張ってね。と言いって去っていく。去り際の笑顔は心から楽しそうで、小悪魔チックでリコもイアンも何も言えなかった。

「ハードル上げてどおすんの?」
「す、すまん。しかしリコが…」
「私は体よく断るつもりだったさ。一発芸なんて無理。イアン、ハメられたね。」
「…リコを落として俺を落とすとばかり…」
「逆だね。ところでイアン披露出来るような芸ってなんなの?教えてよ。」
「あ、ああ。そうだな。いろいろあるが…」

なんだかんだで2人共お互いを放っておけず、やいやい言いながらも宴会芸の話に興じる。

アンカにとってはイアンだってリコだって2人でならどのみち引き受けるだろう提案で特に策を講じたわけでもハメたわけでもない。
2人が勝手に話を進めてしまうのでアンカは提案して待つだけでいい。
さて、2人はどんな宴会芸を見せてくれるのか、とてもとても楽しみだ。




11/03(Sun):心臓を捧げるなんて言葉は私の罪を軽くするようで嫌いなんだ(進撃 ナナバ?)

沢山の郵便物の中に深い赤色の蝋で封印された封筒がある。特になんの感情も湧かないのは訓練されておるからだろうか。
ペーパーナイフでじゃきじゃきと封を開けると質素な羊皮紙に仕事内容が簡潔に書かれており、ご大層にお偉い方の印まで揃えて押印されている。


「おじゃまするよ。」

開くドアをノックして時間通りに患者さんがやってきた。封筒に書類を戻してカルテの下に忍ばせる。お偉い方にこんな雑に書類を扱ったと知れたら大目玉くらいそうだ。

「いらっしゃい。ナナバ…班長。ミケ分隊長。」

ナナバの後ろにのそりと大きな人影を見て畏まる。背筋を伸ばして軽く頭を下げた。
「ミケ分隊長はどうかされたんですか?」
「あぁ、ミケは付き添いなんだ。大丈夫かな?」
「結構ですが…」
「…俺のことは気にしないでくれ」
「だ、そうだよ。彼のことは気にしなくていいから。いつもみたいに気安くしてくれたほうがいいな。」

「そうですか」と、にこり、営業スマイルを向ける。ミケ分隊長は鼻を2、3回鳴らして部屋をちらちら眺めると目を閉じて壁に寄りかかって腕組みしている。
何しに来たの…?気持ち悪…。
簡易ベットに腰掛けるナナバが「彼はいつもあんな感じだから」と笑う。良ければ掛けてお待ちください。と声だけは掛けて、ナナバに施術を行う。


「握って、開いて。じゃあ腕を水平にして…そのまま肘だけ内側に捻るのは?これ以上は無理かしら?」

「ん〜…。これが限界。」

「今、巨人を削ぐのは無理ね。骨に異常はないけど筋肉に裂傷がある。全治4週間。と言ったところね。」

「それを、2週間で治して、直ぐに巨人を削げるようにして欲しい。」

「無理よ。」

「ええ、普通は無理。でもあなたなら出来るでしょう?じゃないと来た意味がないよ」

「…せめて3週間ちょうだい。あと私の言うことは文句言わずに守るなら引き受けてもいいよ」

「オーケー。お願いしたい。」

「じゃあ手首は安静にテーピングで固定して。リハビリは少しずつしながら上半身の筋肉を付けましょう。食生活もこちらで考えたものを実践してね。」

「ええ。」

「詳しいことは明日説明するから、…同じ時間にまた来てくれる?」

都合をつける。とナナバが言うと、ミケ分隊長を連れだって部屋から出ていった。
彼は本当に何しに来たんだ…暇なのか?

身長差も体格差もある2人が同じはやさで気楽に歩いて兵舎に戻る。
ミケは自分の袖口や体の鼻が届くところをひとしきり嗅いで、しかめっ面になる。

「どうしたの?」
「鼻が痛い…と言うか気持ち悪い。なんだあいつは。」
「あっはっは。スンスンするかと思ったのに。悪いねつき合わせて。」
「別に…。構わん。だがもう行かんぞ俺は。」
「そんなにだめ?」
「部屋に薬品の類はないのに、アルコールと…ワックスのような…キツいにおいがした。全部彼女のものだろう…」

「そう。ミケは鼻が利くね。的確だし。」
スン、と鼻を鳴らして、得意げに笑うミケに彼女はいい子だよとにこりと笑って答える。

「ふふ…腕が何とかなりそうで良かった。」

「医者に無理と言われたのに。本当に彼女はできるのか?」

「ええ。彼女が出来ると言ったら出来るよ。体のことで彼女より知る人に私は会ったことがない。」
「名医か…それにしたって、…そんな凄いものには見えなかった…医者とは思えん匂いだし。」
「ははっ。大体彼女は医者じゃないしね。」
「む…?」
「言ったでしょ。彼女は体を分かってるだけなんだよ。医療班所属の兵士だよ。」

ナナバのカルテに書き込みを加えて今後の計画を考える。体を治して強くすることを考えながら、届けられた封筒のことを思い出す。
今度の相手は身内の兵士。身体的外傷を残さずに拷問を行い情報を得ることが条件。
簡易ベットにごろりと体をあずけるとナナバの体温を微かに感じた。ナナバが笑うように、次ぎに拷問する名も知らない兵士にも笑いかける人や家族、恋人、生活があると思うと悲しくなる。

拷問のやり方をいくつか考えて目を瞑る。

医者の真似事をするのも拷問官の大切な仕事。やはり人を傷つけたり、容疑者の反応をみると怖くなるけど、うまく感情を切り離して仕事として拷問を行えるのは血筋だったり、訓練だったり、思想や価値観のおかげなのだろう。

白衣を脱いでバラの描かれたジャケットを羽織る。

さて、北へ向かおうかな。



10/25(Fri):キスの会話(進撃 イアリコ ミケハン コニーとユミル アニベル アンリコ)

〈イアリコ〉くちびる

ちゅっ、ちゅっー
「ん…、…邪魔だ…」
「んっ…ちょ、なに?だめだ。外すと見えん!」
「ふはっ。こんな近いのに見えんもなにもないと思うが?」
「う…。とにかくだめ。」
「だいたいリコ、お前…目を閉じているじゃないか。」
「〜っ。見てるんじゃないよ。悪趣味!」
「…見るだろ?ふつう」
「見なくていいから!」
「くくっ、…じゃあメガネは必要ないな…」
「あ…あた、あたしはいるの!」
「見ないのに?」
「〜っイジワルしなくてもいいじゃないか!」
「リコが意地張るからだろ…」


〈ミケハン〉くびすじ

「ちょー…っ!と。ミケぇく、すぐったいって!あはははは」
「しょっぱい…な」
「やだ、舐めないでよ!」
「最後に湯浴みしたのはいつだ?」
「あ〜…聞かないほうが幸せだと思うな」
「…おえっ」
「え〜…!ひどいなぁ…」


〈ベルアニ〉おでこ

「ベルトルト、ハンカチ落ちたよ」
「え?僕のじゃないよ?」
「いや、今アンタのポッケから落ちたよ。さっさと拾いなよ」

「…はいはい。」
「ベルトルト。」
「な、に…っ、」
ちゅっ
「…へ」
「…いつまで惚けた顔してるのさ。早く立ちな。」
「そ、そんな。いきなりキスしといてそれはないよね!」
「何時も見下ろしてるからお返しだよ。」
「それはアニが小さいか…」
「なんだい?」
「な、なんでも(蹴りは止めて…)」


〈アンリコ〉うなじ

「リ コ ちゃんんんん!」
「わっ!アンカ…どの。お止めください!!」
「ん〜!リコちゃんのうなじは今日も無防備で可愛い…ちゅっ」
「ぎゃあ!勤務時間内ですよ?何考えてるんですか。」
「私はお仕事終わったもの。だからリコちゃんといちゃいちゃすることだけ考えてるよ。」
「…私の迷惑は考えてはくれないのですか…」
「困ったリコちゃんが一番可愛いくて好きよ。ふふ」
「…はぁ…ほんっとーに困った人ですね。」


〈コニーとユミル〉すんどめ

「うおっ!お前…なぁ…」
「あ?」
「屈むと貧相なもんが見えるんだよ!気をつけろよな!ったく」
「…ああ。はっはっ!わりぃな。貧相なおっぱいでも童貞には刺激が強いよな。はっ」
「どぉ…て!ユミルおまえなぁ…女なんだから恥じらいとか品とかちったーもちやがれ!」
「ふ〜ん…コニーはこんな私でも女として話をしてくれて偉いな。」
「はあ?」
「嬉しいからちゅうしてやる。」
「は?バカ女…な、やめろよ!」
「…静かにしな。」
「…っ」
「ん…?」

「…ぷっ。あっはっはっはっ!ひーっ。目とかつむって…おんまえ、マジ、キスなんてするわけないだろ!バカ通り越して可愛いな!」
「な、バカ女。ふっざけんなよ。くそっくそっ!」
「あっはっはっはっ」



会話文のみ。
無理やり感満載。
お粗末様でした



10/17(Thu):どきりどきりどきり(進撃 イアン)

「ペースが速いな。」
「だって、美味しいんだもん。」

ぐいっとグラスを傾けて最後の一滴まで飲み干す。重めの赤ワインが喉を通るときに鼻から抜ける香りに酔う。空のグラスにワインを注ごうと瓶に手を伸ばすとイアンに取り上げられた。

「あん。」
「手酌なんて可愛くないぞ。」

長い指がしっかり瓶をつかんでゆっくり傾けたら、するするとワイングラスのまあるい底を赤いお酒が滑るみたいにして満たされていく。ランプの淡いオレンジ色がぼんやりと赤に深みをもたせる。ゆらゆら揺れる赤いお酒と皮膚の下を流れる血は同じ色で、貧血気味の私はただ色が似ているというだけで赤ワインを好んで呑む。

「イアンはお酒注ぐの上手だねぇ」
「ん?お前のペースが速くて、俺は注いでばかりいるからなぁ。」
「イアンのお酌はお酒が進むの」
「ははっ。俺のせいか?」
「イアンに注いで貰いたくて、グラスを空にしてしまうのよ。」
「なんだそれは」

足を締め付けるブーツを脱ぐと椅子の上で三角座りをして抱えた膝に顎を乗せる。
イアンが「ねむくなったか?」と緩く笑いかけてきて、胸がふわふわする。酔ったうえに眠い…。
「…んー…瓶の持ち方、もつ腕の筋が浮き出る感じ、首から肩のラインが骨っぽくて、肩甲骨が浮き出る背中を想像するとうっとりする。イアンがお酌をするときの格好良いところ。それをみたいなぁ。とか。ふふ。」
「何を…酔ってるな?」
「イアンの格好良いとこもっと言えるよ。でも、イアンが沢山呑ませるから頭がぼやんぼやんす、る…ぅ」
「椅子で寝るな。器用だなお前。」
「じゃ、ベッドまで運んで?」

イアンがグラスに残るワインを口に含むとゆっくり喉仏が上下した。大人の男だなと思ったらどきりとして、ベッドなんて口にした自分の浅はかさに恥ずかしくなった。
親指でグラスの縁をなでて赤い滴を拭う仕草も何か言葉にしない意味を含んでいるのではないかと考えるとふわふわした胸がぎゅうと鳴って顔が熱い。
見上げるイアンの目がお酒でとろんとしてぼんやりとした灯りが作る影とかでセクシーだなぁと思っていたら、椅子の手すりに手を置いて軽く口づけられた。

「顔、赤い…」
「んっ…飲み過ぎただけ…」
「それだけじゃないだろ?」

お喋りな口が思い出したみたいに口付けを始める。くすぐったいくらいのキスがじれったくて、首に腕を回して体を寄せて深く深くゆっくりとしたキスで答える。
お互いの喉の奥とか鼻から抜けるようにでる短い音みたいな声が耳に入って行為を煽る。口付けに没頭していると体がふわりと浮く。

あぁ、ベッド…かぁ。そうだったこれは前戯みたいなもので続く行為があるんだったな。なんてしがみついてキスしながらちらっと考えてしまった。




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