※いかがわしい
※性的描写が多いため大きなお友だち向け
※ヨハンが変態なのでご注意ください
「花を食べて生きていけたらいいのに」
「……ヨハンってもしかしてオバタリアン?」
「え?……あ、別に菜食主義じゃないよ」
今まで一緒にエビフライとか食べてきただろ〜!
苦笑しながらヨハンが言うと十代はホッとしたように息を吐くと「じゃあこれからも一緒に夕飯食べれるな!」とにっこり返した。
花は美しくただそこにあるだけで怒りも悲しみも優しさも携えていない。
無機質なそれは病院の床と似ている。薬品のようだ、とヨハンは思った。
パチンパチン、と爪を切るような音が頭に響く。
ヨハンの部屋のベランダから紅い花をつけた樹が見えていた。ヨハンの故郷では見ることの出来ない、暖かい地方の花だ。紅色に染まったそれはすべすべの幹にふさふさと咲いている。
百日紅、というらしい。
「ヒャクジツコウ……サルスベリ、か」
「何が?」
「あの花の名前」
「へぇ〜…よく見る花だけど名前は知らなかったなぁ」
それだけ言うと十代は再びデッキ構築に意識を集中させる。
ヨハンは口をもぐもぐと動かしながら花を見ている。まるで恋をしているかのように花を見つめるヨハンを十代は不思議なやつだ、と思っていた。
その数日後だった、ヨハンが十代に告白をしてきたのは。
いつものように二人で十代の部屋でデュエルをしている最中、何でもないことのようにヨハンが「十代、俺と付き合わないか」と言うので十代はてっきり購買に付き合ってくれだとかそういう意味なのかと勘違いしてしまった。
しかし購買に行こうと誘うとヨハンはゆっくり首を振って否定した後、
「俺の恋人になってくれ」
ハッキリ告げた。
十代は驚いたような気もするし、驚かなかったような気もする。ただヨハンなら別にいいか、だなんて楽観的に考えていた。
「十代……?」
「あ、うん……別にいいぜ?」
「……良かった。断られるかと思ったよ…」
「そのわりには自信満々って感じだったけどな」
「そんなことないよ。本当はすごく不安だったんだ」
苦笑いしたヨハンはそぉっと十代に手を伸ばし、頬を撫でた。
「あの、十代……キスしてもいいかな」
「キス!?」
「駄目?」
「いやっ、駄目じゃないけど……」
「けど?」
「…………したことないから、どうすればいいのか分からないぜ」
「……じゃあ十代、目を閉じて力を抜いて?」
十代はヨハンに言われた通り、力を抜いて目を閉じた。しかしやっぱり気になるものでうっすらと瞼を開く。目の前にヨハンの顔があって恥ずかしく感じるとビクリと身体が震えた。そしてそのままふにゅ、と唇がぶつかる。
ゆっくりと熱が十代を侵食していった。胸が苦しくなって押さえるとヨハンはそれに気付いたのかすぐに離れる。そしていつものようにへらりと笑うと良かっただろ?と言うので十代はパチン、とデコピンで返してやった。
ヨハンは額を押さえたが、まだ嬉しそうに笑っている。
「あー……俺のファーストキスやるんじゃなかった」
「え、十代そういうの気にするタイプ?」
「いや…あんまり…」
「何だよ、気にするのかと思った。あ、ちなみに俺もファーストキスだったから」
「へぇ〜…。………う、嘘だろ…?」
「嘘じゃない。恋人としてキスしたのは十代が初めてだよ」
初めて。自分が。
頭の中でヨハンの言葉を繰り返して十代は1人で赤くなった。モテそうなヨハンの初めての相手が自分。それは十代に若干の優越感と気恥ずかしさを感じさせる。視線を逸らして照れる十代を見ながらヨハンは優しく笑う。
そうして二人はいつの間にかベッドへと入りこんでいた。橙色の光が差し込む部屋のベッドの中で水音を響かせながらキスを重ねていく。ぴちゃぴちゃと唾液を交換してお互いの舌を絡ませながら密着していた。
「よは…ん…っ」
「十代……可愛い……」
「お前の方が可愛いぜ……っん」
「ぁっ……ふぁ…!」
火照る体に戸惑いながらもお互いを必死に求めあう。部屋は既に薄暗く、それがまた余計に二人を興奮させた。
「あっ……!?」
「十代の…熱くなってる…」
「やめ…っ…そこ……触んな…ぁ…!」
「どうして?気持ちいいだろ」
「そうだけど…っ…」
十代の先をぐりぐりと弄りまわしながらヨハンは笑う。本当に、楽しそうに。
親指と人差し指で輪を作ってぐしゅぐしゅと十代のものをしごいて射精を促してくるので十代は堪らず、すぐにイってしまった。
手にかかった精液をヨハンは舐めとると「苦い」と一言だけ呟いた。
そして息を整えている十代に向かってヨハンも射精した。びちゃびちゃと十代に掛けると「十代のクリーム掛けだな」なんて言いだすので十代は近くにあった枕をヨハンに投げつけた。
ぼふん、とヨハンの顔面に命中するがヨハンはへらへらと笑うだけだ。
「悪かったよ。それより夕飯食べに行こうぜ?食いっぱぐれちまう」
「お前なぁ……こんなんで行けるかよ…!」
「あ。…………ごめん」
ヨハンの精液がべったりとついた洋服を脱ぎながら十代が抗議する。
結局、このあと十代は風呂に行き、ヨハンが十代の為に夕飯をキープしておくことになった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
今日はあまりの暑さに二人はヨハンの部屋へと来ていた。冷房のよく効いた部屋でするデュエルはまた格別だ。そしてセックスも。
冷えた部屋でお互いの熱を貪り合うのがたまらなく気持ちいいと、最近はずっとヨハンの部屋でシてばかりなのだ。
ベッドへと押し倒してキスをして、それで……
「んっ…ヨハン……またかよ」
「ダメなのか?」
「だって昼も授業中抜いたし」
「十代だって抜いたのにもう固くしてるだろ?」
「…っ…そうだけど……!」
「ならいいじゃないか。シようぜ、十代?」
「………っ…」
結局、いつも流されてシてしまう十代は僅かな苦しさを感じていた。これは、身体目当てという奴なんじゃないかと頭の隅で考える。
朝も昼も夜も、ヨハンとずっとし続けている気が、して。
十代は男にしては華奢な方であるしヨハン程筋肉があるわけじゃない。だからヨハンは女の代わりに……
「んっ…ぁ…!」
「十代、こっちに集中しろよな?」
「い…っ…!?や、ぁんんっ……!」
考えても途中で快楽に流されてしまう。目の前がチカチカと明滅する。滴り落ちるものはきっと汗だけではなかった。
快楽に喘ぐ十代を見ながらヨハンは満足そうにニヤリと笑った。そしてデスクの上に飾られた紅い花を見て優しく微笑む。
十代の柔らかい耳朶を食んで、れろりと舐めると十代がぶるりと震えた。
ヨハンの部屋は精の匂いで満たされている。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そんなことをしていた二人も夏が終わり、秋が始まる頃にはすっかり落ち着いていた。あれだけセックスに明け暮れていたのも遠い昔のことのように、デュエルをしていた。
ヨハンか十代の部屋でデュエルをしてシャワーを浴びたらすぐに眠る。そんな毎日だ。
しかし十代は少し納得がいかなかった。夏が終わって以来、ヨハンと一度もシていないのだ。
健全な男子故に十代だって溜まるものは溜まる。あんなに毎日何回もしていた分、慣らされてしまった十代は今の状態が正直苦痛なのだ。
かといってヨハンは誘ってきたりはしない。あんなに襲ってきた頃が嘘だったかのように、ヨハンは清潔で高貴な状態だった。
そして今日もデュエルをし終わったヨハンは十代の部屋から出て行こうとする。
「……あのさ、ヨハン」
「ん?何だー?」
「お前、最近俺のこと襲わないな」
「え?……あぁ…そうだな!」
「その……シない、のか?明日は休みだし…」
「ああ!溜まってるんだな、十代は!いいぜ、抜いてやるよ」
そう言うと十代のズボンと下着をあっという間におろして十代のものをぱくんとくわえてしまう。
口をすぼめてしごいてくるのと久しぶりということで十代のものはすぐに固く、反り上がった。そしてあっという間にビクビクと射精してしまう。その十代の出した精液をぢゅるぢゅると吸うとヨハンはごくりと喉仏を鳴らした。
「っあ……ヨハ…っ…飲んだのか…?」
「んっ……ああ!ずっと溜めてたのか?スゲー濃かった……」
「わ、悪い……!でも…」
「じゃあ十代もイったみたいだし、俺帰るな!」
「えっ……」
ブーツを履くとヨハンはバタバタと走りながら帰ってしまう。そんなヨハンを十代は泣きそうな顔で見送った。
ヨハンには行くところがあったのだ。深夜だからこそ、行ける場所。
森の中にある一角、そこは百日紅の樹がたくさん生える場所だ。ヨハンはがさがさと草をかき分けて進んだその場所でするすると服を脱ぐとぴたりとその幹に抱き着いた。
耳をあてると百日紅の呼吸の音が聞こえる。聴きながらすべすべとした滑らかな幹にヨハンのモノを擦りつける。
百日紅は何も言わない。
「今日、久しぶりに十代に誘われたんだ。あいつがえっち好きになったのは俺のせいだからさ、フェラしてやったけど……」
あいつはもう駄目だよ。
百日紅は何も言わない。
「俺は君がいれば……」
百日紅は何も言わない。
何も言わない百日紅にヨハンは白濁を掛けた。
(紅い花弁は君を狂わす)