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いそいそとティッシュとゴムとローション準備して「さぁやるか!」――ってのはさすがにムードなさすぎだから、とりあえず、紘人に朝飯を食べさせることにした。
俺と天羽君が食べた朝食の材料の余りで簡単に作ったものだったけど、紘人は喜んで平らげた。

食後はベッドに直行して、まずは密着しながら紘人と腰掛けた。そして挨拶みたいな軽いキス。
緊張してるっぽい紘人の頬を両手で撫でて、解きほぐすように鼻の頭にも戯れのキス。

「……今日さ、俺は前に話した通り、ちょっと靴見たいのと映画行ければいーんだけど、紘人は他にどっか行きたいとこできた?」
「いや……きみが行きたいところでいい。どこでも連れて行くから」
「なんか足に使っちゃってるみたいで悪いなぁ」
「僕は、欲しい物は足りてるから……んっ」

もうこれからやるって意識してるから、背中から腰にかけて遠慮なしのエロい触り方をすると、紘人のほうも甘い吐息を漏らした。

紘人は俺が行く店に興味があるらしく、車で行けるところならどこへでも連れて行ってくれる。そして一緒に見て回って興味深そうに俺にあれこれ聞いてくるのが可愛い。
まあね、俺と紘人って着るものも好きなものも全然違うから。

俺はそこそこリーズナブルでデザインや使い勝手のいいものを選ぶけど、紘人はそうじゃない。
かなり値の張るものでも基本的に長く使うことを前提として品選びをしてる。買い直すのが面倒だからって本人は言ってたけど。
そういう価値観の違いをどっちか一方に合わせたりするのって付き合い方として違う気がするから、俺たちは各々好きなものや必要なものに口を出したりしない。興味があれば勧めるけどってスタンスだ。

だいたい、俺って自分の着るものを考えたり選んだりするのは好きだけど、人のスタイリングを考えるのは苦手。どうしても俺のカラーが前面に出ちゃうしその人の個性を潰しちゃうから。
だからスタイリストって職業はマジですごいし尊敬する。そういうの得意だったら、紘人のことも全身コーディネートしてみたいんだけどな。脱がすばっかりじゃなくてさ。

「と、透……くすぐったい」
「んー?くすぐってんだけど」

寝巻きの裾から手を差し入れてさわさわと脇腹を撫でる。くすぐったいってことは敏感な場所ってことだしね。開発のしがいがあるなぁ。
紘人は、俺が飯作るようになってからますます血色が良くなったと思う。もともと綺麗だったけど艶が出てきたっていうか。いっそのこと栄養士の資格でも取ってやろうか。

紘人の手が俺のシャツにかけられる。服の隙間から冷えた指先が忍び込み、俺がしてるのと同じように脇腹を撫でた。

「うわっ、ちょ、くすぐったいって紘人!」
「お返しだ」

二人で馬鹿みたいにくすぐり合いをしてシーツの上に倒れこんで、イチャイチャしながらキスして、やがて舌を絡めて、さりげなく俺が紘人の上に跨って――ってところで、甘い空気をぶち壊すバイブ音が響いた。
ガラスのテーブルの上で鳴ったもんだから、結構大きな音でブブブブブ!とそれが部屋中に響いた。
スマホは二人まとめてテーブルの上に置いておいたせいで俺も紘人も顔を見合わせて「どっち?」って表情で首を傾げた。すぐに切れないところを見ると着信っぽい。
無視しても良かったんだけど、俺のバイトか紘人の仕事の電話だったら困るから、仕方なく紘人の上から退いてベッドを降りた。

半勃ち状態のムスコのチンポジを直しながらテーブルを見ると、鳴ってるのは俺のスマホだった。
画面には『天羽瑠佳』の文字。
さすがに出ないわけには……いかないよなぁ。


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