タイムアウト・きょーちゃんとハル先輩の出会い

四月、大学に入学して数日が経った。
広大なキャンパスは高校と違って複雑に入り組んでいて、迷路攻略気分で一人フラフラ歩いていた。
五号館の裏手側で偶然見つけた喫煙所。しかしそこには先客がいた。
ものすごい美形の男。けど、いかにも遊び慣れしてますって感じで性格が歪んでそう。なんとなく自分と似てる感じがして、同族嫌悪めいた印象を受けた。
そいつも俺を見るなり顔を歪め、俺に向けてフーッと煙を吐いた。

「ここ満員だから。他行きな」
「いやいや超空いてるじゃないっすか」
「俺さぁ、他人の煙草の臭い、嫌いなんだよね」
「気が合いますねー、俺もです。あ、そっちもう終わりますよね?はい解決」
「二本吸わなきゃ足りねーから」
「ふーん」

その言葉を聞き流して構わず吸い始める。
俺を追い出すことを諦めたらしいイケメンは、それでも譲る気はないようで一歩たりとて動かなかった。

「お前、新入生?」
「はぁ」
「ここ新入生禁止の場所だから」
「あー迷っちゃって戻れないんで。黙っててくださいねー、先輩」

真面目に向き合うのが面倒で適当に嘘をつく。つーかどうせ新入生禁止とかいうのも嘘だろ。
わざとらしく「先輩」の部分を強調すると、イケメンはものすごく嫌そうな顔をした。

「お前、ムカつくな」
「気が合いますねー、同感です」

それが、以後長い付き合いになる、香月陽斗先輩との出会いだった。


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