バレネタから始まる恋物語 前編


※ノマサススレナル


 担当上忍たち三人ですら手こずった目の前の敵をあっさり倒したのは普段落ちこぼれだと馬鹿にされていたナルトだった。オレンジ色の派手な服を着たいつもと変わりない姿のはずなのに、今そこに立っているのは温度の冷めた碧眼で敵を見据える凛とした横顔だった。
 敵はいきなり飛び出してきた小さな忍びの鮮やかな攻撃に翻弄されていた。気付かない内に倒れていく仲間にすぐに余裕な表情が恐怖へと、怯えへと変わっていった。

 あんなにいた敵が次々と倒され気づけばそこには担当上忍たちと下忍たち、そして息絶えた者たちの真ん中に佇むナルトだけだった。
 ナルトがやった目の前の出来事に周囲は息を飲み、なんと声をかけていいか戸惑う。それはナルトの隠していた実力を知って騙されたとかではなく、担当上忍からすれば封印が解けたとかでもなく、ただいつもあんなに明るいナルトとのギャップに冷たい雰囲気に声をかけ辛かったのだ。

 一方のナルトは、彼らの戸惑う雰囲気を敏感に感じ取るも本人は特になんとも思っていなく、いやむしろバレてこのあとの処理が面倒くさいだとか、どう収拾をつけるべきかだとか、一人思考を巡らせていた。
 ナルトにとって7班や同期は任務上の守るべき対象であるため、そこにある感情はただの護衛対象でしかなくそれ以上でもそれ以下でもない。
 表のナルトとは違い甘い考えを持たず、本来のナルトは非常にシビアな考えを持つ人間であった。もちろんそれはナルトの一面であって、一度懐にいれたものを大事にする顔を持っている。その気丈でクールな様から暗部の人間をことごとく魅了していたりする。




「……っ……」

 ナルトによる一方的な蹂躙が終わると辺りが静まり返る。面倒だなーと思いつつもナルトは下忍や担当上忍へとくるりと振り返った。
 途端、ナルトと向き合う形になりピクリと反射的に揺れる同期たちの身体。けれどもそれに対して、ああ刺激が強すぎたかー悪いことしたなーまだ下忍だもんなー、と幾分か配慮が足りなかったか?と思考する。
 互いに無言で見つめ合うも同期からしてみれば緊張で一杯である。気安く話しかけられる雰囲気じゃない。それほど今のナルトには歴戦の忍びとしての風格があった。まるで伝説の三忍を初めて目の前にした時のようだ。
 サクラは同じ7班として他のものより多くナルトと接してきた。始めはうざくて大嫌いだったがいつの間にか仲間として大事に思ってる。だから自分がナルトに声をかけないと、たとえ実力や性格を偽っていたとしても助けてくれたことには変わりない。そう思い一歩踏み出しナルトに声をかけようとするサクラ。


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