その5
うるうると目を潤ませるサスケを慰めたところで、ナルトとサクラはさっきからこちらを凝視する視線へと顔を向けるが、自分と同じ姿の人間がそこにいて、目を見開くも二人。だがそれも一瞬のことですぐに現状を把握する。
「お前ら、サスが世話になったな」
「感謝する」
野性味溢れた男らしい顔をしたナルトと男装の麗人のような男らしいサクラがこちらの世界の七班に礼を告げた。
「あー……いいってばよ(ガーン……サ、サクラちゃんが男みたいだってば……)」
「え、ええ。どういたしまして(な、なんかナルトがかっこいいんですけどっ)」
「…………(女の子のような自分に実は大ダメージを受けている)」
「いーえー(どうしよう……向こうのオレがオネエだったら……」
ーーあっちのサスは大分捻くれてるな。可愛げのない……やっぱり私たちのサスの方が断然可愛い!
ーー同意だな。
違う世界のサスケを誰にも気付かれずに観察し終えたナルトとサクラは、お互い無言でアイコンタクトを交わし合い、自分たちの間でニコニコとご機嫌なサスケを盗み見た。
「そっちのサス、サク姉、ナル、カカシ先生ありがとねー!」
ニコニコと違う世界の自分たちに挨拶をするサスを連れて元の世界に帰った彼らを見送った七班は、大した任務も終えてないのにどっと疲れが訪れる。
「俺……こっちで良かったってば」
「……ああ、そうだな」
「わ、私も……(でもあっちのサスケくんも可愛いかったわ、しゃんなろー!)」
そんな生徒たちを見ながらカカシもまた、彼らが自分の生徒じゃなくて良かったと内心ホッとしたのだった。