棘だらけ

「ナマエ、また振られたって?」
「うん・・・」

ナマエとプリンとその妹のブリュレは、ナマエの部屋にいた。仲がいいのでこうやって定期的に女子トークをしているのだ。

「あっちから告白しといて何なのよ!ナマエお姉ちゃんもちゃんと断れるようにならないと」
「でもだって・・・。振ったら可哀想だし」
「それが一番失礼なことよ?」

ナマエはたまに、男子から告白される。ナマエ自身、カタクリのことが好きなのだが断りきれずOKしてしまうのだった。

「墓穴掘りまくってるのはわかってるんだけどさ・・・」

ナマエはため息をついた。今日で何回目か分からない。

「ナマエお姉ちゃん、早くカタクリお兄ちゃんとくっついちゃってよね」

ブリュレはナマエとカタクリが付き合う事に賛成していた。そのせいかナマエに"お姉ちゃん"をつけて呼んでいる。

「そうしたいのがやまやまなんだけどね」
「・・・・ていうか、何で振られた?今回割と早く終わったよね」

こういう話が大好きなプリンとブリュレは目をキラキラ、いやギラギラさせて尋ねてくる。

「・・・そいつとラーメンに行ったときね、そのラーメンが結構あっさりめだったから一人でスープを飲み干したの。そしたら振られた」
「はあ?」
「なんかね、味見したかったらしくて・・・」

ナマエはその時のことを思い出して苦笑いした。

「何なのよその男!カタクリお兄ちゃんに比べたらカスよ!底辺!」
「・・・私も思い出したら腹が立ってきた・・・!!」

プリンがここぞとばかりに持ってきた大量のお菓子をテーブルに並べる。

「さあ、パーッとヤケ食いよ!アンタはもうちょっと太りなさい!」
「よーし!」

お菓子は全て、トットランド社製品。トットランド社のお菓子のファンであるナマエは貪るように食い漁った。

「これ全部食べてやるんだから!」




ナマエは知らない。この後、ナマエを振った男がシャーロット家によってボコボコにされたことを。


_________

「あー宿題宿題」

お風呂上がりのナマエはバスタオルをターバンのようにして頭に巻いていた。明日までの宿題を終わらせなければ。でもめんどくさいし、答え丸写しでいっか。

取り敢えず机に座ってみる。けど集中出来ない。
なぜなら正面には向こうの家の窓があるから。しかもその部屋の主はカタクリときた。

小学生までなら、カタクリの部屋に普通に入れた。だけど中学生から行きづらくなった。だって男子の部屋だ。何が置いてあるかわからないじゃないか。そういう本とか。

「会いたいよー」

聞こえるはずない。お互いに窓は閉じている。昔はカーテンも窓も開けっ放しにして沢山話していたのに。今見えるのはぼんやりとした人影だけ。
でももしかしたら来てくれるかもしれないから。ナマエはいつも窓の鍵は開けたままにしている。

「宿題、しないと」

ねえ、いつになったら、その窓を開けてくれるの?

棘だらけ



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