瞼をやさしく透かす温度

「でも、キスまではしてないんでしょ?」
「まーねー」

ここは小洒落たスイーツ店。最先端の流行を追うプリンに連れられ、ナマエとブリュレもここの新作ジェラートをパクパク食べていた。
今日もいつもの三人で女子トークだ。

「サンジ君割と積極的~」
「でもキス・・・出来なかった」
「はははは。こっちなんて告白すら出来てないよーだ」

プリンとサンジは案外うまくいってるらしい。

「そういえばもうすぐで二年生は修学旅行よね」
「ね。京都かあ」

ナマエたち二年生は京都大阪奈良神戸を回る旅行だ。どうせなら外国が良かったけど、5泊6日と長めで自由行動も多いし満足だ。

「カタクリは行くの?」

よくあるドラマでは不良たちは修学旅行には行ってなかったな。

「アンタが行くなら、行くと思うけどね」

ニヤッとプリンとブリュレが笑った。もー。

「か、からかわないでよ・・・」
「いい加減慣れたらどう?ウィッウィッウィ」
「うっ・・」

「そういえば、麦高のルフィ君?カタクリお兄ちゃんに決闘を申し込んだらしいじゃないの。無敗の男にわざわざ負けに行くなんてね。ウィッウィッウィ」
「え!?ルフィ君が?」

また喧嘩だ。本当はやめてほしいのに。

「決闘は明日だってさ。」

心配が胸に重くのしかかってくる。どっちにも怪我をして欲しくない。

そんなナマエの憂苦は残念ながら、翌日現実に実現してしまうのである。

________

五時間目。昼食後最初の授業だから、生徒の睡眠率がとても高い時間帯。しかも国語ときた。でもそんな時に皆の目が覚めるようなことが起きた。

「何あれ!!」

授業中、教室の窓から下を除くとそこには他校の生徒とトッ高の不良軍団。昭和かよ。とツッコみたくなるが、平成の出来事だ。

「サンジ君がいるわ・・・!!!」

プリンのサンジ発見能力は凄まじい。

「おおー、、」

授業そっちのけで生徒達は皆窓から身を乗り出している。先生も面白がって止めようとしない。それでいいのか。
ナマエも窓からカタクリの姿を探す。いつも目で追ってしまうから、すぐに居場所なんて分かる。

「あ」

いた。カタクリだ。ルフィ君もいる。

「ルフィ君やっほー!」

手を振ってみれば、ルフィもこちらに気付いて手を振り返してくれた。
と、同時にカタクリからギロリ、とそれだけで人を殺せるんじゃないかと言う程の鋭すぎる視線がナマエに向けられた。

「あ、やべ」
「ちょっと何やってんのよ馬鹿ナマエ!!」

プリンが凄い剣幕でナマエを窓から引き剥がす。

「痛い痛い!」
「事態を悪化させんじゃないわよアンタ・・・」

プリンの視線も怖い。やっぱ兄妹だなあ、と呑気な事を考えていると、外の集団に動きがあったようだ。

「校舎の中に入ってくるわ!」
「見に行く?見に行く?」
「いやあ、危険だって」

皆は興味津々。ごちゃごちゃ言いつつも自分の席に戻った。

「さあ、気を取り直して。授業再開しますよ」

先生の声が子守唄にしか聞こえない。皆も私も、さっきの騒ぎなんて忘れてしまって、深く眠りこけてしまった。

瞼をやさしく透かす温度



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