下町元気っ子


「もう、さっきからずっと呼んでるのに・・・」

「すまん。まったく気付かなかった。」



そう言うと、少し下を向いてしまうテッド。



「いや、君が悪いわけじゃないよ。私が悪いんだから。

 お願いだからこっちを向いてくれ」



そしてその可愛い可愛いお顔を見せてくれ。


慌てて弁解(下心?何それおいしいの?)をすると、勢いよく顔を上げる。

あまりの勢いに驚きながら、表には出さずにテッドを見る。


・・・やべっ、マジ可愛い!デヘヘッ



「ねぇ、お姉ちゃんは結界の外から来たの!?」



興奮しているのか、瞳をキラキラさせながら聞かれた。


うっ・・・・ま、眩しい!!私みたいな荒んだ心に重くクるぜ!



「あー・・・・うん、そう。結界の外から来ちゃいました」

「やっぱり!結界の外ってどんなところなの!?」

「そりゃ、魔物がそこら辺にウヨウヨいて・・・」

「う、うん」



いきなり真面目な声になったのに驚いたのか、拳をにぎりながら真剣に聞く。



「お前を食ってやるぅぅぅぅ!!!」

「うわわわわわ!!」

「・・・・と、まぁこんな感じに魔物は容赦なく襲ってくるんだ」

「そ、そうなんだ・・・。

 それじゃあ、お姉ちゃんは強いんだね!」



たぶんね。術がどれくらい使えるかわかんないし。






それからしばらく外の世界について迫真の演技を交えながらしゃべっていたら、

日が沈みかけていた。



「わ、もうこんな時間・・・・。ねぇ、お姉ちゃんはこれからどうするの?」

「野宿」

「え!?さっきお金有るっていったじゃん!」

「うん、まあそうなんだけど。

 ・・・・宿の場所がわかんないのさ」

「宿なら僕の家の二階だよ!ちょっと待ってて!母ちゃんに
 
 部屋空いてるか聞いてくる!」



言いながら『箒星』に走っていく。え、いや・・・野宿したいんスけど。

そう切実に願いながらも、もしかしたらユーリに会えるかもという

淡い期待を持ちながら静かに水道魔導器を眺めていた。





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