下町王子A


男たちがフレンに気付いてからは、全てが風のように速かった。


一瞬で男たちを地に平伏せ、見回り中だったのか近くにいた騎士に

男たちを連れて行くように指示する。


近くにいた騎士が男たちを連れて行った後、フレンはこちらに振り向く。



「大丈夫だったかい?」

「あー、はい。全然大丈夫です。それより、どうしてここが分かったんですか?」

「君が助けた女の人が必死に君を助けてほしいと言ってきて、慌ててきたんだ」

「そうですか・・・。おかげで助かりました」



本当はフレンが来なくても大丈夫だったけどね。

そんなこと言ったらフレン可哀そうじゃん。

こういう時はちょっとしおらしくしといたほうがいーの。



「さてと、君を家まで送るよ」

「え?別にいいですよ?」

「駄目だ。また絡まれたらどうするんだ」



実際は絡まれに行ったんだけど。



「・・・じゃあお願いしようかな」

「任せてくれ。あ、荷物も持つよ」



紳士だ!コイツ、すごい紳士だ!

しかも私がお願いした瞬間、すごく嬉しそうに笑いやがった。

・・・フレンはさ、下町の中で1、2位を争うほどのイケメンなんだよ?

そんな人に笑顔を向けられたら・・・!



「ところで家はどこだい?」

「あ、とりあえず『箒星』で」

「とりあえず?」

「女将さんに買い物頼まれてたんですよ」

「なるほど・・・。もしかして、君がユイかい?」

「え?何で知ってるんですか?」

「じゃあユーリと一緒に暮らしてるんだね」



だから何で知ってんだよ。



「君の噂は騎士団の中で有名なんだ」

「はい?」

「すごい可愛い子が下町で働いているってね。・・・あ、申し遅れたね。

 僕はフレン・シーフォ。今は小隊長で、ユーリとは幼なじみなんだ。

 あと、敬語は外してくれて構わないよ」



私の噂って騎士団にも・・・!?

しかも一部情報間違ってるし。可愛いってなんだ、可愛いって。



「ユーリとねぇ・・・。まさに美男子の友情だね」

「び、美男子って・・・!?」

「あ、顔真っ赤」



私が指摘すると、フレンはさらに顔を赤くした。

可愛いやつめ。






『箒星』に時折フレンをからかいながら向かう。

無事に何もなく着くと、フレンに振り向く。



「今日はありがと!荷物まで持ってくれて・・・」

「いいんだ。それより気を付けて」

「はーい。今度遊びに来てね!」

「ああ」



別れの挨拶をし、フレンはさっき来た道をもう一度歩く。

フレンが見えなくなってから、私は中に入った。





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