『よろしく』
ラピードと戯れた後、私は急いでご飯を作った。
「いっただっきまーす!」
お腹がとても減っていた私は、速攻でハンバーグを口に入れる。
「うん!自分で言うのもアレだけど、うまい!」
「お、確かにうめぇな」
「でしょ!?わかったか!これで私が料理をできるということを!」
「はいはい」
流されたぁぁぁぁぁ!!
あの後すぐに食べ終えた私たちは、部屋の中でくつろいでいる。
「そういえば、お前どこから来たんだ?」
「ん〜、結界の外」
「結界の外はそんな恰好するのか?」
突然話を切り出してきたかと思えば、私のことについて色々聞きたいらしい。
さて・・・・どうしますかね。
って言っても、答えはもう出ている。
「結界の外って言っても次元が違うんだよ」
「は?」
「むしろこの世界の外?異世界からやってきました」
「・・・・はぁ!?」
「この服も私の世界のもの。あ、本名は宮内ユイだよ」
「ちょっと待て。つまりお前はこの世界の人間じゃないってか?」
「うん」
だってそういうことだもの。
「別に信じなくてもいいよ。ま、事実なのは変わらないけど」
「・・・・。」
「無理強いしようとは思わないし」
「・・・お前は、今行くところがないのか?」
「うん。そりゃ、異世界だもの。私を知っている人なんて一人もいないよ」
「・・・・・そっか」
なんか、やけに返事があっさりしてる。どゆこと?
しかし、次の言葉に私は眼を見張った。
「じゃ、帰る方法見つかるまでここにいろよ」
「へ?」
「どうせ行くとこねぇんだろ?だったらここにいればいい」
「でも・・・」
「ま、面倒事を拾っちまったのはオレだし。最後まで面倒みるさ」
本当にほっとけない病だね。そうやって無意識のうちにたくさんの人を
救い、これから救っていくのをアナタは知らない。
だから、私は―
「あ、兄貴ィィィィ!!」
「うお!?」
「ありがとう!マジありがとう!本当にありがとう!」
「いいって」
思いっきり抱き着いた私をぎりぎりで受け止める。
感謝の言葉を連呼すると、彼は優しく私の頭を撫でてくれた。
「んじゃ、改めてよろしくな、ユイ」
「うん!!よろしく、ユーリ!!」
もう何回目かわからない『よろしく』に、声をあげて笑い合った。
・・・だから、私は―
アナタに恋をしたんだよ。
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