お父さんは甲斐性なし
千石なまえ、15歳。
私はここ最近。
常に苛立っている。
「キヨの馬鹿!もう知らないっ」
まるで某アニメ映画のような台詞を吐きながら、勢いに任せて家を飛び出る。
別に彼氏と喧嘩をした訳ではない。と言うか、そんなものはいない。
事の原因はもっと別で。
キヨと呼ばれ、今は苦笑いを浮かべて頭を掻いている私の父にあった。
千石清純、38歳。
一応、私の父親にあたる。
"一応"と言うのは、別に血が繋がっていないとか、そう言う繊細な感じではなく。
ただ単に、今は父親だと思いたくない。それだけの事。
では何故父親と思いたくないのか。
それは、先程叫んだ理由にも繋がってくる。
私の家族は、父と私の二人だけ。
所謂父子家庭と言うやつで。
授業参観も、三者面談も。
その他諸々今まであった親とのイベントは、全て父親が担ってくれた。
休日は家事全般を父がこなし、暮らしは良好。どこから見ても仲の良い親子。
そんなご近所からも評判の父親だったが。
一つだけ、どうしても許せないところがあった。
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