てられない恋心





貴女に好きと
伝えられないのなら。

この気持ちは。
何の為にあるのだろう。





「日吉くん」




学校帰り。


駅のホームで
電車を待っていると。

聞き覚えのある
明るい声に名前を呼ばれる。



振り向けば。

そこにはテニス部の
マネージャーをしている。

名字先輩の姿。



それを見て一瞬表情が
明るくなりかけたが。

隣に居た忍足先輩に気付き。
また直ぐに表情を隠す。




「部活お疲れ様」

「えぇ。先輩も、お疲れ様です」




何となく顔を
見られたくなくて。

わざと視線を外す。


その外した先。

制服の袖から見える
先輩の薬指には。

小さな指輪が光っていた。




「あ、そうだ!」




その指輪を見つめながら
一人感傷に浸っていると。

名字先輩が
楽しげな声を上げる。


何だと思って顔を上げれば。




「あのね、今から侑士と買い物に行くんだけど。良かったら日吉くんも一緒に行かない?」




突然。

そんな提案をしてきた。







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