あなたの頬に優しいキスを
私は今、ジロー先輩の家に来ている。
「なまえちゃんが居るから寝るわけないよ〜」
なんて言ってたのに。
言った本人は隣で机に
伏せって寝ているし。
「先輩、私と居ても楽しくないのかなぁ…」
ポツリと呟き、先輩の髪にそっと触れる。
癖のある金色の髪。
指に絡めればピンと跳ねて。
「先輩は本当に私のこと…好きなんですか?」
耳元でそっと囁いた。
聞いてるわけないのに…
「──うん、好きだよ」
「え!?」
寝ていたはずのジロー先輩が、いつの間にか私を見つめていた。
驚いて思わず髪に触れていた手を引こうとしたが、それよりも速く先輩がその手を捕まえる。
「あ、あの…っ」
急に手を掴まれ、一気に心臓が騒ぎだす。
「顔赤いよ〜?」
ジロー先輩がわざとっぽく笑う。
「!?っか、からかわないでください!」
顔が余計に火照るのを感じて、急いで下を向いた。
真っ赤な顔をした自分を想像すると、恥ずかしすぎて泣きたくなった。
絶対今、ブサイク…
いっそのこと泣いてやろうかと思ったその時。
フッと風が動いた。
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