何だろうと顔をあげると同時に、柔らかいものが唇に重なる。



「…っ!?」



それは唇に触れるだけの軽いものだったけど、私の心臓を止めるには十分過ぎて。

抵抗することはおろか、目も閉じれなかった。



先輩の手が優しく私の頭を包む。

そしてゆっくり体重をかけられ、口付けをされたまま後ろに倒されていく。



背中が床につき、頭が先輩の手の暖かさからフローリングの冷たさを感じたとき

今、自分がされたことをやっと脳で理解した。



私は、押し倒されたのだ。





──チュ‥




唇が放される。


今の私の視界に入るのは、ジロー先輩と天井だけ。




「からかってごめんね。でも、俺がなまえちゃんのこと好きなのは本当だから」



先輩の目が真っ直ぐに私を見つめる。

初めて見る真剣な表情に、思わず心臓がトクンと揺れる。




「好きだよ、なまえ」




囁いて、また唇が触れる。



甘い口付けに目を閉じて、零れそうになる吐息を吸い込もうと口を開くと

透かさず彼が深くに入ってきた。







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