始まりの秘密
「壇くん。このダンボール、さっさと運んじゃおっか」
2つ置いてあるダンボールの前で。
気合いを入れて腕まくりをする。
そんな私の隣で、同じように腕まくりをしているのは。
テニス部の後輩、壇太一くん。
身長147p。
彼と並ぶと、自分の背が高くなったように感じる。
「名字先輩はどっちを運ぶですか?」
そう言って、
私を見上げてくる。
壇くん。
そのアングル、可愛すぎ‥
「…じゃあ、こっちのにしようかな」
顔がニヤケないように注意しながら。
自分の近くにあった方を持ち上げる。
──ん?
ちょっと重いかも。
やることは。このダンボールを直ぐそこの体育倉庫に仕舞うだけ。
それだけなのに、
ちょっとナメてた。
何が入ってるかは分からないけど、意外と重い。
まぁ、これだけだし。
と、自分を励ましてノロノロ進む。
倉庫の入り口付近にある段差に気を付けながら。
やっとのことで運び終える。
汗を拭って後ろを見ると。
入り口まであと少しの所で、壇くんが止まっていた。
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