秋の眠りと冬のため息
乾いた風に、赤く色付いた葉がゆらゆらと揺れる。
ここ最近で一気に温度は下がり、季節はもう冬に入る準備を始める頃だ。
「うわ〜寒いねジロー」
頬を掠めていく風に肩を震わせれば。
「ヘブシ…ッ!」
隣から何とも奇妙なくしゃみが聞こえてくる。
見れば同じく肩を震わせ、鼻水をすすっているジロー。
急な温度の変化で服が間に合わず、この寒さでは少々薄着だったかもしれない。
そろそろ衣替えでもするか。
と考えるが、この年の子供は成長するのが馬鹿みたいに速い。
去年の服なんてピチピチになっているに違いない。
大きくなるのは見てて嬉しいけど、お財布的には辛いお年頃だ。
家計簿を思い浮かべながら、服を買う余裕があるかを計算する。
別に貧乏という訳でもないけれど、常に余裕は持ちたいというのが主婦の心情。
「…よし。予定変更!」
家計簿を閉じ、財布はまだ暖かいことを確認した私はジローの方を見る。
「今日はジローのジャケットを買いに行きます!」
ピースをしながらそう言うと、キョトンとした顔が見る見るうちに綻んで。
「服買ってくれるの!?」
「うん。そろそろ寒くなってきたからね」
「やったー!」
嬉しそうにピョンピョンと飛び跳ねるジローを落ち着かせ。
風に追われるように早速近くのショッピングモールへ向かうことにした。
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