自動ドアが開いた瞬間、暖かい空気に包まれる。
ザワザワとさざめく人の声。
流石休日だけあって、店の中は人で一杯だった。
「はぐれないでね」
そう言って手を差し出せば、素直に握ってくれる小さな手。
その手を握り返しながら、目的の場所へと向かう。
さて、洋服売り場はどこだったか。
適当にエスカレーターに乗り、それらしい所を歩いていると。
とある一角が他の景色よりもかなり浮いていることに気付く。
『キッズコーナー』
そうプレートが掛けられたその場所は、子供が好みそうなファンシーな色付けが施され。
端に犬だの猫だのの人形が並び、その中央。
子供用のプラスチック製の滑り台の隣に、一際存在を目立たせるとある遊具。
それに気付いたとき、ジローの足が不意に止まった。
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