つまでも君を想う





さわさわと花の香りを漂わせる風が、微かに綻び始めた桜の蕾を揺らしていく。



ゆっくりと沈む夕日を眩しそうに見つめれば。

オレンジ色に染まった世界に、キィ‥キィ‥と規則正しく響く音。




まだ寒さの滲むこの季節に、君は鼻の頭を赤らめながら楽しそうにブランコを漕いでいる。


君を追いかけて揺れる蜜色は、反射した夕日に包まれてキラキラと輝いた。





「ジロー、そろそろ帰るよ」




ニコリと微笑んで立ち上がれば、それを見た君はブランコを止めてプーっとほっぺたを膨らます。




「えー?!おれもっと遊びたい!」




唇を尖らして、捻くれたように足裏で砂利を擦る。


ほんと、夢中になったら飽きるまで止めないんだから。




呆れ顔で笑って。




「じゃあ、母さん先に帰るね」



そう言って歩き出せば。




「あ、やだ待って!」



伸びる影を追い掛けて、慌てて君が駆けてくる。




私の隣にちょこんと並んで、躊躇いもせずに手を握る。

その小さな手を優しく握り返してやれば、君は「エヘヘ〜」とはにかんだ。







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