大同小異
「っくしゅ!」
はじまりは佐吉のくしゃみだった。
室内とはいえ冬の暖房もついていない部屋に長時間居たため、佐吉の体は冷えきっていた。
『大変…急いでお風呂入りましょ!』
「お、ふろ?」
『あー何て言ったらいいのかしら…取り敢えず、早く洗面所に行きましょ』
佐吉の腕を掴むと、半ば強制的に洗面所へ連れて行く。
洗面所へ着くなり、佐吉は興味深そうにきょろきょろしはじめるた。見たところお風呂場を見るのは始めてのようだった。
『使い方は…わからなさそうよね。じゃあ一緒に入りましょ』
「!?そ、それは…」
『だって貴方使い方分からないじゃない?』
「うっ……」
『ふふっ…さ、着ているものを脱いでこのカゴにいれて頂戴』
佐吉はしぶしぶといった顔で服を脱ぎお風呂場へと入る。すると、また浴室を興味深そうに見ている
『こっちが頭を洗う方で、こっちがそのあとに付けるものよ。今日は私が洗ってあげるから、その椅子に座って頂戴』
「あぁ…」
シャナの指示に従い、椅子に座ると佐吉は髪を濡らされゴシゴシと髪を洗われ始めた。
『気持ちいい?』
「あぁ…シャナは、あらうのが上手なんだな」
子どもながらにお世辞でも言っているのかと思ったが、鏡ごしに見えた佐吉は気持ち良さそうに目を閉じている。
一通り終えたあと口数の減った佐吉を改めて見てみると、その瞳は閉じられていて小さな寝息が聞こえた。
『佐吉、終わったわよ?』
「…ん」
『取り敢えず出ましょうね』
「んー…」
寝ぼけているのか生返事をしてふらふらとした足取りで外に出て、シャナのされるがままに小さめのシャツに着替えさせられた佐吉を抱きかかえると、寝室に向かい寝かしつけた。
『…洗面所もお風呂場も見たことがないなんて、もしかしてトリップしてきたとか?…まあ明日聞けばいいか。』
(お風呂の予約設定は重宝するわ)
(佐吉の肌が羨ましい…)
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