局面打開



この日も普段と何一つ変わらない日常を過ごすつもりだった。

朝起きて顔を洗ってご飯を作って仕事に行く。
仕事に行ったらまたいつものように書類作成、データ整理、会議。
単純といえど退屈な内容。
ただ社長との仲も良好で、給料もいい方。
不満などあるわけがなかった。

しかし、平凡すぎてつまらない。贅沢な悩み。



定時であがり帰宅するとリビングに何かがあった。


その何かを凝視していると次の瞬間小さく動いた。よく見てみるとそれが小さな男の子ということがわかった。


『ねえ、貴方どうやって入ったの??』


「っ?!」

いきなり声をかけられて驚いたのか、男の子はそのまま固まってしまった。

『…私はシャナよ。貴方は?』

「……おれは、佐吉」

『佐吉…ね。それで?貴方はどうやって入ったの?』


「っ…わからない……別のばしょにいたはずなのに、気が付いたらここにいたんだ…」

『………そう…怖かったわね』


「!しんじて…くれるのか…?」

『勿論よ。貴方、嘘ついてるように見えないし。嘘つくにしても、もっとましな嘘つくじゃない?』


「…そうか」
『ふふ。そうだ、元の世界に戻るまで取り敢えずうちで暮らして?
一人暮らしって結構寂しいものなのよ?』

「いい…のか?」


『えぇ。だから、宜しくね?』
「!ありがとう…」











(退屈な日常からやっと逃れられる)
(その時は唯の退屈しのぎとしか考えていなかった)

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