5 第二の勧誘


「精市」


「やあ蓮二、どうしたんだい?」

「そろそろマネージャーを取らなければ少々辛いと思わないか?」

「まぁ俺としてもマネージャーは欲しいところだけどね。でも女子はうるさいし男子は入ってくれないだろう?今更こんな話をするなんてどうしたんだい?入ってくれる男子が見つかったの?」


「いや・・・面白いデータが取れたのでな・・・」




















「・・・へぇ

跡部が気に入った女の子、か」


「ふっ・・・なかなか興味深いだろう?
しかも跡部があの顔とあの言葉を使っても全く動じなかった。」


「いや、あの顔とあの言葉がなんなのかは全くわからないけど・・・確かに興味深いね。
椎名瑞城さんか。・・・ふふっ、さっそく会ってみなくちゃね」







ゾクッ


『!?』


真「ちょっ、瑞城?どうした?」


真奈美と昼ご飯を食べていたらなんかめちゃくちゃ凄い悪寒を感じてしまった。


『いや、不吉な予感がした』


真「さらっとすごいこと言ったな!!うっかりびっくりしたわ!!」


『まぁ・・・気のせいだといいけどな・・・私の嫌な予感って外れたことないんだ・・・』


真「なんて嫌な正確さ・・・沢田○吉もびっくりな超直感だね!」


『昨日あんな面倒なヤツに絡まれたんだ。もうあと10年間は面倒事に巻き込まれたくない。』




ピンポンパンポーン

「2-C椎名瑞城、至急立海男子テニス部部室に来るように」

ピンポンパンポーン




「『・・・・・・』」



『嫌な予感しかしない』

真「い、行かなくていいの?」

『行けば大変なことになりそうな気がするんだ』



ピンポンパンポーン

「来なかったら・・・クスッ」

ピンポンパンポーン


『逝ってくる』

真「瑞城・・・!!」

『そんなに泣きそうな顔するならついてくるか?』

真「いやそれはいいや!」

『・・・』



友人からの裏切りをうけた私は1人テニス部の部室へ行くことになった。
てか「立海ってなんだ?とお前は言う・・・」『いや思ってるだけで言ってはいないんだけど・・・』


「りっ理屈じゃない!」

『え、何が?』


振り返るとそこには糸目美人こと柳蓮二がいた。
なぜ目をつぶる、それがお前のアイデンティティーなのか。


「ふっお前が俺達の部室がわからずに道に迷ったあげくに面倒になって家に帰る確率は82.5%だったからな」

『確率高いな。てかお前その容姿だから上手くカバーされてるけど言ってること若干気持ち悪いぞ』

「仁王や丸井に任せてもよかったのだが辿り着くまでに時間がかかりそうだったからな」

『スルーか』

「では部室に向かいながら説明しよう。
立海とはこの高校にあるテニス部のチームの1つだ。」

『お前が私をスルーしたことを私もスルーしてやるからな・・・・・・って1つ?』

「あぁ。
この高校のテニス部には強者がぞろぞろといてな。
その中からレギュラーを絞るのはいささかもったいない。
絞ったとしても他校とのレベルが違いすぎて大会にならないんだ。」

『へー』

「だからチームをここからわけて、そのチームはチームごとに大会に出られるようにした。」

『この高校どんだけ権力あるんだってかテニスに力入れすぎで引く』

「主にチームは3つだ。
俺達立海、9割が関西人が集まる四天宝寺、そして昨日お前が拉致られた氷帝だ」

『あー跡部か』

「そうだ。ちなみに氷帝の部長は跡部、四天宝寺の部長は白石、立海は・・・」



「俺が部長だよ」



『!!!!!!』


「精市、背後をとるのは止めろといつも言っているだろう。びっくりする。」

「あははっごめんごめん!みんなの反応が面白くてさ、ついね^^」

気配がなかった・・・だと。

「じゃあ椎名さん、だよね?ようこそ立海テニス部へ!俺は部長の幸村精市。とりあえず中に入ってくれるかい?」

『あ、ああ』


中に入るとこれまた美形揃いだった。
なんだこれ喧嘩売ってるのか。



「わっ生の椎名先輩!!初めまして俺切原赤也っス!」

「おー噂の椎名じゃねーか。俺は丸井ブン太!シクヨロ☆」

「仁王雅治じゃ。気軽にまーくんと呼びんしゃい」

「何が気軽にまーくんですか仁王くん!失礼しました、私は柳生比呂士と申します。よろしくお願いしますね」

「わりぃな無理矢理。俺はジャッカル桑原だ。よろしくな」

「真田弦一郎だ。」


『私は椎名瑞城だ。よろしく・・・と言ってもなにがよろしくなんだ?』


「ああ、椎名さんにはマネージャーをしてもらおうと思って!」


『は?』


いやいやそんなにニコニコされても困る。
というか、そもそもお前とは初対面だろ?常識的に考えておかしいだろ。


「ここでは俺が常識なんだよ^^」


『そうか・・・・・・!?』


「椎名、言い忘れてたが精市は読心術を使えるぞ」

『早く言えよ!ってかこの人何者?何を目指しているんだ!』


「将来的には独裁者になる予定だよ^^」


『なんで冗談に聞こえないんだ』


「で、やってくれるのかな、やってくれるよね断るはずがないよね断れないよね」


『ちょ、怖い怖い怖い』


こいつ断るすきを与えないつもりか!


「椎名、引き受けた方が身のためだぞ。精市は面白そうなものは意地でも手に入れるからな。」


『えええ迷惑っ!』


「この俺にそんな口きいたことあるのは椎名さんだけだよ。」


そんなこと言われても。


「椎名はマネージャーやりたくないのかよぃ?」


『やりたいかやりたくないかで言えば迷いなくやりたくないと言えるな。

テニスに興味はないし、男子の部活ってだけで女子は面倒だし、サポートしたいという気持ちが私には全くないからな。
というか私がマネージャーをしたらお前たちが後悔すると思うぞ』


「・・・俺達の誘いを迷いなく断るなんて本当にいい度胸してるよね」


そんなこと言われても。(2回目)


「でも・・・うん。ここで無理矢理入部届けにサインさせることなんて簡単だけど」


『さらっと恐ろしいこといったぞこいつ』


「やっぱり椎名さんには自分の意思で入部してほしいかもしれない」


「えっ部長!?」


「あの幸村くんが他人の意見を尊重した!?」


「前代未聞じゃな」


「おいこら3バカ死ぬ覚悟しとけよ?^^」


「「「すいませんでした」」」


「・・・と言うわけで椎名さん、覚悟しておいてね?

じゃあ皆、解散!」



おつかれっしたー、といいながらテニス部はぞろぞろと去っていった。
結局なにがしたかったのかは全くわかりません。