ぬいぬいバスター2
前回、途中で青空先輩の乱入で失敗したぬいぬいバスター。次は絶対に成功させてやると意気込みながら案を練っていたが、いまいちなものばかり。なので前髪先輩の弱点を知るために白銀先輩の元まで来ていた。けど、失敗。このへんた……先輩、話をちゃんと聞いてくれない。
『先輩、本当に聞いてます?』
「うん、聞いてる聞いてる。電波ちゃんは俺が好きなんだよね」
『そんなこと言ってません。つーか電波ちゃん呼ぶな』
やっぱりダメだ変態は話を聞かない。相手してて疲れる。はぁ…と短く溜め息を洩らし、何の収穫もないまま先輩とは、さようなら。いや、寧ろ自分のHPを先輩に削らせただけだ。ダメージを受けたまま廊下をふらふらしていれば、前方に前髪先輩。あ、これやばい。翼いないし、HPを削られた状態。そのうえ先輩、こないだの仕返ししたそうな表情してる。
「ふっははは!今日は一人か、唯」
まえがみがあらわれた!!
▼にげる
▼たたかう
▼なかまをよぶ
▼まほう
ぴっ→▼にげる
『さよなら』
「あ、待ちやがれ唯!!」
声を掛けられ、近付いてこられたところで猛ダッシュ。逃げた私を追いかけてくるけれど絶対に前髪先輩よりは速い自信がある。ふふふ、宇宙科なめんなよ!だけど先輩って物凄く根に持つタイプなのかしつこい。凄くしつこい。校内での鬼ごっこでは埒が明かないので外へと脱出するために手近な窓から外へと飛び出す。
『……あ』
「何してるのかな、唯ちゃん」
『い、いえ…何してるのでしょうかね……あはははは、』
窓から出るのを月子先輩の幼馴染み軍団に見られた。特に一番見られたらまずい東月先輩に。これ、すっごく重要。別に七海先輩や土萌先輩だったら問題はない。ただ、この先輩にだけは見られたらまずかったのだ。今も笑ってるけど、その笑顔がとてつもなく怖い。何だか黒いものを背負ってるし。しかも、ちゃん付け。有り得ない…。
「す、錫也…」
「ん?何だ?」
「何でもないです……」
頑張ってよ、七海先輩!ただならぬ東月先輩に声を掛けて制止してくれそうだったけど笑顔の先輩に気圧されて黙ってしまう。土萌先輩は黙ったまま私の肩を叩いて離れていく。ちょ、先輩どういう意味ですか!?絶望にも似た感情を抱えていれば、取り敢えず場所を移動しようと引き摺られていく。あ、完璧おわった。本格的に怒られる。
「唯、正座」
『……はい』
「それで、どういうことかな?俺は何度も窓から出るなって言ってるはずだよな。何を聞いてたんだ」
『あぅ……』
「あんま苛めると泣くんじゃない?」
泣きますよ、先輩。本当に泣きますからね。声は荒げないけれど、ひしひしと静かな怒りが伝わってくる。そうさせたのは自分だから、ちゃんと反省をしよう。またやるかもしれないけれど、それはそれ。
『ごめんなさい…次はしません』
「分かってくれたなら良いんだ。じゃっ、お菓子でも食べようか」
東月先輩は怒ると怖いけど、甘やかすのも上手いと思う。笑顔で頷き、立ち上がろうとして足が痺れていることを思い出した。不様に転び、先輩達に起こしてもらう。
ぬいぬいバスター2(はっ、バスターするの忘れてた!)(バスター?何してるのさ君)(くそっ、ぬいぬいを抹殺出来なかった…!!)(不知火先輩に迷惑掛けてんじゃねーよ)
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