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呪朱で色々



紫原



「…ねむい」
「皆さんも休んでるから少しだけ寝ますか?」
「うん」



眠そうに目を擦る紫原くんは何だか小さい子供みたいだ。何となく隣に座っていれば、横から感じる視線。あれ、紫原くんって寝るんじゃなかったっけ?ジーっと此方を見てくる紫原くんが、横にしていた体を起き上がらせる。もしかして隣にいたら寝にくかったのかな?



「どうしたの?」
「抱き枕が欲しいからさ、みょうじちんがなって」
「抱き枕、ですか……?」
「そー。ねえ、早くってば」
「え、わっ!」



急に腕を引かれ、そのまま紫原くんに抱き締められる体勢になってしまう。そして等の本人はそのまま満足そうに寝ようとしている。いや、少し待ちましょう。何で寝れるの!?けれど、本気で眠そうな彼を起こすわけにもいかない。ギュッてしてと眠そうに甘えるような声で言われてしまえば、そうしなければいけない気分にすらなってくる。要望に答えるようにし、私もそのまま寝てしまった。



***


高尾



えーっと、この状況は何なのかな?ハイテンションで私の名前を呼びながら近寄ってきた高尾くんは急に私の前で黙りこんだ。はてさて、いったいどうしたのだろうか。小さく首を傾げながら顔を見ていれば、高尾くんが私の頬へと触れた。



「た、高尾くん?どうかしたの?」
「んー、なまえさん寒かったりする?血色悪いし何か冷たい」
「え…?寒いって言うより色々あって血の気が引いてるのかな?よく分からないけど」
「そっか」



眉を下げた高尾くんは何故か私の頬を撫で始めた。手付きは優しいんだけど何だか擽ったいし、少しばかり気恥ずかしい。異性にこんな事をされないから耐性がないのだ。そろそろ止めて欲しいと思った矢先に高尾くんが少し意地悪げに笑った。



「何かなまえさん、血色良くなってきた。もしかして恥ずかしい?」
「わ、分かってるなら聞かないで欲しいな!」
「頬っぺたピンクのなまえさんってば可愛いからやだ」
「ううっ、高尾くんの意地悪…」
「だって可愛いんだもん」



手付きは相変わらず優しいのに何故か意地悪に思えるのは高尾くんの表情故か。いや、それだけじゃない気がする。何だかやらしい気がするから。顔の輪郭をなぞるように撫でられたところで彼の腕を掴めば、高尾くんが彼特有の爆笑を始めた。うっ、絶対にからかわれてた、これ。



***


黒子



あれ、また黒子くんがいなくなった。体育館を見渡しながら思わず、そう呟いてしまう。いなくなったと言うより、正確には見付けられなくなったと言うべきか。彼は、とにかく影が薄い。そのせいか少し目を離した隙に見失ってしまうのだ。他の皆さんもそうらしいけど付き合いが長ければ、それなりには見付けられるらしい。ただし、見付からないときは見付からないとか。



「うーん…見付からない…」
「何がですか?」
「わっ……!び、びっくりした…。いや、黒子くんの姿が見えなかったので」
「僕ですか?」
「なので探してたんですけど見付からないと思ってました」



ああ、僕は影が薄いですからね。そう何でもないように返事が返ってきたのは言うまでもない。本人は気にしていないらしいので良いのだが、私は見つけてもらえないと多分だけど落ち込むタイプだ。それにしても何処から現れたのだろうか。本当に急だったから驚いちゃった。……って、あれ?また消えた…?



「え、ええ…神出鬼没だなぁ…」
「此処にいますよ」
「ひゃっ…!?く、黒子くん!?耳許で喋らないで下さい!」
「すいません。でも、これなら気付いて貰えるかと思いました」



あの無表情な黒子くんが微かに笑っている。でも、それって本当に心臓に悪いと思うんだ。急に耳許で声が聞こえてくるんだもん。未だにバクバクと煩い心臓の辺りを押さえていると黒子くんが再び耳許へと口を寄せてくる。見失っても、こうしたら気づいてもらいますね。そう言った黒子くんがやけに大人っぽく見えた。



***






…何か凄い気まずい。あの原さんと一緒になるとは思いもよらなかった。ノリが軽すぎて一緒にいると物凄く不安になる。化物みたさがあるらしいけど…あの前髪で見えるのかな?別の方向に思考を飛ばしていると両頬を挟まれ、無理やり原さんの方へと向かせられた。ちょっ、痛いです!



「原さん!?離して欲しいんですけど…!」
「みょうじさん、すっげえ顔してんだけど」
「それは原さんが首をあらぬ方向に…!」
「だいじょーぶっしょ」



大丈夫じゃないから言ってるんですけど!?何を思ってこんな行為をしているのか分からないが、そろそろ離して貰いたい。その願いが通じたのか。手が離れていく。痛む首を擦っていると再び強引に顔を原さんの方へと向かせられた。



「は、原さん…もう何ですか…」
「ねっ、もうちょっと俺のこと見ててよ。なまえちゃん」



本当に突然、甘い声で名前を呼ばれて原さんを見つめ返してしまう。徐々に停止していた思考が回り出して来て顔が熱くなってくる。それを見たせいか、原さんの口許が弧を描いた。





あとがき

リクエストありがとうございました、カモメ様。何かあまり書かない話なので色々と恥ずかしくなりました。個人的に高尾と原が難しかったです。原は、こんなことを言うのだろうか…?

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