03


満天の星空を見上げて流星群を待つ。


「ミナト、どれが何の星?」
「ん、あれがデネブ、アルタイル、ベガだよ!」
「へぇー…」

ミナト君が質問したクシナに夜空を指差しながら、夏の大三角の名前を教える。彼の言った星を頭の中で反芻して覚えて空を見る。



『あれが…織姫様……』

やっとたくさんの星の中から見つけてつぶやく。
でも織姫様の相手の彦星様が見当たらない。

ひとり、ぼっち……そんなの寂しいよ…。



空を見るのをやめて、楽しげに話すひとつ隣のミナト君を見る。


『……っ、』

話し掛けたくてしかたないのに、結局私は何も言えないまま……―――





『(さっきのお願い事なんて…、意味ないね―――)』



ゆっくりと降り注ぎ始めた流星群とともに、私の目からも一筋の涙が流れ落ちた。


ホントはわかってる。
君のこと、ちゃんとわかってるつもり。
こんなの私のちっぽけな、儚い願い事だって。
たとえ見つかったて、……見つけてもらえたって届くはずないの。
(だって、こんなに近いはずなのに、こんなにも遠く感じる…)

「だめだよ、泣かないで」ってそう言い聞かせた。


- 3 -

 


back