元就目線







ある日、目が覚めたら枕元に変な生き物がおった。












「何ぞ、これは…」

我が普段通り日輪参拝のために起床した時枕元に変な生き物がおるのを見つけた。
そうよな、大体八寸くらいの円形の物体で色は薄紫。西海の鬼のような眼帯を着けておる。

「…不思議な手触りよな。」

もちもちしている。少し固めでよく弾む鞠のようだ。
ぺしぺしと叩くと怒ったように暴れた。



眼帯といい、暴れることといい、まるで粗野な海賊の様よな。

「元親。」

呟くともちは暴れるのをやめた。
ほう、貴様誠に元親というのか。

因みに元親もちは我の手から抜け出せてはおらぬ。
我に貴様のようなもちが勝てると思うな。


「貴様は、西海の鬼本人か?」

問うたがもちは再び暴れるのみだ。
しかし先程名に反応したのであるから言葉は解しておるはずよな。



ふむ。

「是か否かで答えよ。是なら"もち"、否なら"もちもち"よ。」

もち。
手の中でもちが頷く。

「貴様は、元親か?」

もち。

「元は人間か?」

もちもち。

「貴様は自分がどうして此処に来たのか分かっておるのか?」

―――――――

分かるような分からぬような…か。それとも今の状況に混乱しておるのか。
我は溜め息を一つ吐いた。

「分からぬならばもちもちもち、でよい。」

もちもちもち。

「連れはいたのか?」

もち。

「連れは今どこにおるのだ?」

我が日ノ本の地図を卓上に広げると元親もちは我の手から飛び上がった。

飛び降りた先は、四国。
元親の元にもちの連れがおるのか。



では元親が来るな。
もちの登場に混乱した元親は我を頼って此処に来るであろう。
恐らく…




「……」

黙った我に向かって元親もちは顔を(というか体全体)を傾げる。

「元親もちよ、我の策は如何様にも転ぶ。」

もち?

「一つ西海の鬼を吃驚させてはみぬか?」

もち!








小鬼が鬼を喰らうか。

腕の中でもちもちと弾む元親もちを撫でながら思考した。
こやつのさわり心地は中々我好みよ。

所詮は捨て駒よな。

我は心中で小さく呟いた。










前作の続き
そして続きます

あかさたなはまやらわやったねぇ|



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