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願望じゃないと言って神様






※下品&喘ぎ注意






『んっあ、っふ、ん、ぎん、っちゃ…!』
「…なに、ここ弱ェの?」
『〜〜っっ!! っあ、あっ、そこ、っやだぁ…っ!!』
「そう言われたらS心が擽られるってもんで、逆効果だと思うぜ、名前ちゃん」
『やっ、あっあ、っあ! やだっ、んうっ、そこばっか、…っま、またイっちゃ…!!』
「またイっちまうの? おいおい、上に乗っかってんだから俺のも気持ち良くしろよ。はい、ちゃんと動いて〜」
『っも、むり…ぃ…! っん、んっ、イっちゃ…!』
「んーじゃあ仕方ねェな。イってもいいけどさ、これから俺に許可取ってくんない?」
『…ど、ゆことっ?』
「だから、イく許可。俺がいいって言ってからしか、イっちゃ駄目だからな。無断でイったらお仕置きすっから」
『なっ、なにそのルール…!』
「でー? どうすんの。俺にお願いしねえの?」
『ひっ、またそこ……っ! わか、わかったから……!』
「…なに?」
『…っ……い、イっても、いいですかっ…?』
「…もうちょいエロくお願いして。できんだろ。銀さんに調教されたどすけべ女なんだから、お前。はい、もう一回〜」
『んっ、う…! ……おっ、お願い、です…! っあ、っ…ぎ、銀ちゃ、のがおっきく、て、奥、つかれて気持ちいいか、らっ…! すけべな私を、っん、もっといっぱ、っい、イかせてくださ、い、お願いします…!』
「……っ、上出来。息が出来ねェくらいまでイかせてやっから喜べよ」
『っ〜〜! っやっ、あ、あっああ! んっ、あっ、んあっ、っ銀ちゃ、だい、すきぃ…!』
「っ、知ってるっての」
『イく、イく…っ! っあああ…!!』





ぱちっ。


「…あーもう、神楽ちゃん服また散らかして出て行って…女の子の自覚があるのかほんと……」

――耳に入る、万事屋従業員、志村新八の声。志村新八の、呆れた音色のひとりごと。
寝巻きが肌にくっつくくらい、身体が汗ばんでいる。暑いからか? いや、今は四月半ば。夜中暑さに困る時期ではない。

「…あ、銀さん起きたんですか? もう十時ですよ。なんか、うなされてましたね。怖い夢でも見たんですか? 汗びっしょりじゃないですか。毛布掛けたんですけど、要らなかった、です……」

うなされる? 俺が? 怖い夢? 怖いって、幽霊とか出てくる夢のこと? そんな夢は見てねえ。つーか俺、夢見てたの? 見てたとしたら、なんか、くっそエロい、名前の……
 名前の――?


「――っっっ!!!」

自身が見ていた夢を一瞬で把握し、そして下半身を体感で把握する。あかん、こりゃあかん。やべえ。しかし、志村新八もあかんと気付いたそう。ソファで眠る夜中の寒さを考慮してか、俺に掛けられた毛布も、今の俺には意味をなさなかった。なんかすげえこんもりしてる。ははは。新八は、俺の下半身を視界に捉えてしまったようで、硬直している。

「……銀サン。ナンカ、スッゴイ夢ヲ見タソウデスネ」
「……」
「……あの、仕方ないと思います。夢って、そういうもんですもんね。は、はは……でも夢って願望を見せるとか言いますし…い、いい夢だったんじゃないですか?」

新八の作られた苦笑とフォローが胸に刺さりまくって、俺なんて夢を見ちまったんだと、顔に熱を集合させる。茹でだこ状態の顔を見せたくなくて、顔を右腕いっぱいで覆う。ち、ちげえと空いた左手で新八に手を振る。いや、てかそれよりも。
 
「なんつー…夢見てんの、俺……」
「…ぎ、銀さん?」
「……なんで、あいつ? なんで…つーか、え…? えー…?」
「……その真っ赤な顔からして、相手が意外な人だったんですね……。…あの、銀さん、僕買い出しに行って来ますから……あの、あとはお好きなように……」
「……神楽は?」
「…そよ姫のとこに、行ってます」
「……ほんとに、サーセン……」

同じ男じゃないですか、ははは。と乾いた笑みを作った新八は、俺に別れを告げると、家から出て行った。
ひとり残された俺は、上肢だけを起き上がらせる。すると、ほわあと脳裏にあいつの作られた顔や声が浮かぶ。

――すけべな私を、っん、もっといっぱ、っい、イかせてくださ、い、お願い、します…!


「……っ、マジ、これ願望だったら、やばくね…? ……銀ちゃんって、俺…」

冷めない身体の熱に呆れを感じながら、顔をまた手のひらで覆い、大きく溜息を吐いた。

「……とりあえず処理しよう」


次あいつに会った時どういう顔して会えばいいのやら……――。



***



『んー…どうしたもんか…銀時さんに連絡……彼氏のフリ始めて二日目ですけどやめてくださいって言うのか…申し訳ないな…』

しかし。
脳裏に浮かぶは地獄に落ちるべき女ふたり、その名は猿飛あやめ、志村妙。きっと奴らは超絶自己中だ。人の気持ちを考えていない。私をいじめることと、上手くいくことしか考えていない。

…いや私も、銀時さんには申し訳ないから彼氏のフリは早いとこ止めてもらうつもりだったけど……新八くんにくっつくのは違うでしょ。なんで新八くん? ショタコンって意味わかる? ショタだよショタ。新八くんがショタなら、ショタコンという概念は少しだけおかしくなるよ。

と言いつつ、ショタコンであることがバレたくない私は、仕方なく万事屋へ向かっていた。地獄に落ちるべきふたりに捕まっていたのは、午前十一時までの話。そして今は、午後二時。銀時さんもお昼ご飯を食べ終わってゆったりしている頃だろう。…あ、仕事に行ってたらどうしよう。伝言残す? …新八くんはどうすればいいの?
まあ、仕事に行ってたらその時考えればいいか。

猿飛あやめと志村妙を呪い殺すことだけを考えていた数十分後、なんとも早く万事屋へ着いた。

ごめんください、と言うのは恥ずかしく、すいませんと小さく挨拶しながら、戸をノックする。この家は鍵がかかっていない。けれど勝手に戸を開けられるような仲ではない。

また、コンコンと叩く。その音と振動は割と大きいように思う。家の中にいる人物には聞こえているはず。
いないのかな、と考え、踵を返そうとした時、求めていた人物の苛立った声が戸の内側から聞こえ始めた。

「なんなの今日はほんと、誰にも会いたくねー日なんですけど! はい! 宗教なら入らねーっての!」

戸を開ける寸前まで言葉ははっきりと聞こえた。そして、戸が開かれた。想像していた通りだった。声の主である坂田銀時さんが、戸を開けたのだ。私の姿を見て、なぜか口を閉じられなくなったのかあんぐり顔の彼に、いきなり来てすいませんと頭を下げる。やだ、すごいびっくりされてる。急すぎたかな。

『あの、昨日の今日ですいません…銀時さんにお願いがあって…』
「帰ってください」
『実は……。…えっ?』
「帰ってください」

その言葉を投げかけられたと同時に、強引に戸を閉められた。いや、ええっ!? と、私も負けじと戸を開けようとする。戸を閉めようとするもの、開けようとするものとの戦いだ。多分普通に考えて開かないこれ。力が強すぎる。ていうかでもなんで、帰れ? 何怒ってるのこの人?

『っぎ、銀時さん!? わっ、私何かっ、っん、何か悪いことしましたかっ!?』
「あっ喘ぐなァァァ!! 帰れェェェェ!!」
『えっ喘いでな…! ど、どうしちゃったんですか銀時さん!』
「どうしたもこうしたもねーよ! 何でもねーから早く帰ってくださいお願いします!」
『いやなんで!? なんで会ってくれないんですか!?』
「いや今会えねー状況なの! だからお願いします一週間距離置いてくださいお願いします!!」
『えええそんな長く!??』

私に会えない状況とは何か。仕事中とか? それとも女の人連れ込んでるとか? それとももっとディープに、奥で何かやらかしてるとか!? にしても、一週間は長すぎる。私も秘密をバラされたくないのだ。今日しかあなたと別れる日はないのだよ銀時さん!!

『銀時さんお願いします〜!! 今大変なのは分かってます! ですけど、お話だけでも聞いてください〜!』
「たっ大変!?? おまっ、知ってんの!?」
『何がですか!?』
「知らねーのかよ!! いいから!悪ぃんだけど帰ってくんない!? 本当に今日は会えねーの! 銀さんのコンディション悪ぃの!」
『えっ、風邪でもひいたんですか!?』
「まあそんなとこ!!」
『じゃっじゃあ…お身体に障らないよう少しだけでいいのでお話を…』
「少しも無理死んでも無理だから帰れェェェェ!!」
『なぜそんなに拒むんですか銀時さん!!』

風邪にしては元気だし声普通だし、一体どうしたというのか。私に会えないコンディションの状況とはどんな状況なのか。すごく気になる。逆に気になる。
しかし、会ってくれる気配は微塵もない。これは私の負けか…! と、手の力を弱めようとした時だった。

「何してるアルか、名前」

歌舞伎町の女王兼馬鹿力な神楽ちゃんが、背後にいた。

『あっ神楽ちゃん! 銀時さんが私に会ってくれないの! 開けてこの扉!』
「え〜何アルかその状況。あのアホ、思春期の猿アルか。私が開けてあげるネ」
『ほんとっ? やったあああ!!』
「神楽ァァァ!!?? マジでやめてッ! お前もやめてェェェェ!!!」
「そいやッ!!!」

そいやという力ではない。手で開けるという発想がなかった彼女は、飛び蹴りで玄関の戸を蹴破った。戸が万事屋の家の方にきれいに外れ、誰かを踏み台にして鈍い音を立てて倒れた。その下にいるのは間違いなく銀時さんで、なんかすごい開け方してくれたけど、神楽ちゃんこの家の子だからいいか!

『ナイス神楽ちゃん! さあ銀時さん! 私の話を聞いてください!』
「もうほんと……勘弁してつかぁさい……」

泣きそうな声で私に悲願するも、私はそれを無視することにした。銀時さんに手を伸ばし、彼が仕方なく私の手を取ったのは五分後のことだった(時間かかった)。


続く!!!