×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

まだ一人



朝が来た。朝七時。むくっと体を起こして起き上がった。隣には遅くまで寝ている妹など当然居ない。いつもだったら土日のお母さんのシフトは、朝の五時から昼の一時まで。言ってなかったが、うちのお母さんはコンビニでパートをしている。姉は二十四歳で役場で働いている。妹は中学二年生。お父さん?あの人の説明はまた後でね。





とりあえずウジウジ帰りを待つだけじゃなく、行動に移そう。普通だったらお母さんは今仕事中だから、お母さんの働いているコンビニに電話してみた。出たのはオーナーだった。五十代なのにとても綺麗な女性のオーナー。オーナーとお母さんは仲が良くて、私にも良くしてくれている。

挨拶をして名乗ると、オーナーは名前ちゃんね!と言った。そして次にオーナーは、お母さんまだお家?と聞いてきて、私の心臓がドクンとまた音を立てた。お母さんが、仕事をサボるわけがない。


「いえ、昨日から帰ってきてないんですよ。お母さんだけじゃなく、姉も妹も」

「え、帰ってきてないって、いつから?」

「私のバイトの終わりからです。お迎えの連絡もしたんですが何も返事無しで...。仕方なく歩いて帰ったんですけど」

「えっ、あそこの店から歩いて!?頑張ったねえ!」


すごく褒められた後、お母さん達何処行っちゃったんだろうね。と、オーナーが寂しそうに呟いた。いの一番に私が聞きたかったことなのだが、オーナーまで知らないとなると誰に居所を聞けばいいか分からない。こっちも探してみるから。今日も帰って来なかったら警察に電話した方がいいよ。と言われ、この事が重大な事件になろうとしてる事に気が付いた。多分、帰ってくるだろう。不安げな希望だけポツンと残された。





夜。バイト先まで電車で行った。ということは皆さん察しの通り、お母さん達はまだ帰ってきていません。連絡も、何も。何も無いんです。バイト中何とか落ち込んだのを悟られまいとずっと笑って過ごした。帰り、連絡しても無駄なのでまた歩いて帰ることにした。少し、耐えきれなかった涙がぽた、と落ちた。



top