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素敵な夜ご飯



「誰ですかィ、この女。土方さんの女か。ロリコンも程々にして下せェ」
「誰がロリコンだ、しかも俺の女じゃねェ」
「うちの施設見学に来た名字名前ちゃんだ。トシと一緒に来たんだよ。今日はこっちに泊っていくから、仲良くしてやってくれ」
『よ、よろしくお願いします』
「へえ。土方さんに襲われねーよう気を付けて下せェ」
「ぶっ飛ばすぞ総悟」
「んで、今日は何で坂田さんがいるんで」
「晩飯食いに来た」
「へえ。なるほど。今日はまた変わった面子ですねェ」


……うーん、なんか目に毒だな。イケメンばっかりで。


部活から帰宅したという青年、沖田総悟くんは、大層イケメンだった。同じ高三らしい。こんな顔のレベル早々いないぞ。ジャニーズ普通に入れる。絶対すぐ売れるよ間違いない。でも彼なんだかツンツンしてるし怖いところはある。愛想がないのが欠点かも。



「よっこいせ」


どかん、と座卓上に二ケースのビールを置いたのは、坂田さん。

お寿司まだ届いてないのに飲もうとするの早いよこの人。ちゃらちゃらしてるからお酒はかなり好きそうだけど。

私の視線に気が付いた彼は、「ん? 飲む?」とビールを渡してきた。しかししっかりとお断りした。お酒を飲む気がない以前に飲んではいけない。なぜなら私は二十歳未満。そして近くに警察の方がいます。警察さん。この人未成年にお酒勧めてます。


ピンポーンと、綺麗な電子音が遠くからかすかに聞こえた。ああ来た来た、と近藤さんが立ち上がり、財布を手にして玄関へ向かった。あ、ほんとに奢ってくれるんだ、近藤さん太っ腹すぎる。


「いやあ、つーか沖田くん久しぶり。半年ぶりくらいじゃね?」
「ええ、半年ぶりくれェです。坂田さんは相変わらずですねィ。土方さんも相変わらずV字ハゲで安心しやした」
「ハゲてねえわ。俺のどこがハゲてんだ、つーかこのくだりさっきもあった」
「名前ちゃんだっけ、今幾つ?」
『…えっと、十八です』
「高三か。沖田くんと同い年だろ。沖田くんは年相応の面してっけど、お前は幼ェよなァ。中学生?って感じ」
『うーん…まあよく言われます』
「つーか危ねェやつに襲われそう。おどおどしてっから、気ィ付けろよ。特に隣のV字ハゲさんには気ィ付けろよ。瞳孔開いてっから、いつ襲い掛かってくるか分かんねーぞ」
「妙な言いがかりは止めろや天然パーマ。いい加減公務執行妨害で逮捕すんぞ」
「うわァこういう時だけ権力使うって…税金と権力は使い回すんじゃねーよマヨ方V字郎さん」
「誰がマヨ方V字郎だァァァァ!! てめえ侮辱も程々にしろよぶっ殺すぞ」
『(マヨ? ていうか土方さん殺すって言っちゃってるよ)』
「殺されたくねえなァ。でもなー土方くんブチ切れてるし…んじゃあこうするか。どっちが酒強ェか勝負すっか。こんなにたっくさん酒あんだから、どっちかがぶっ倒れるまでやろうじゃねェの」
「いい度胸だ受けて立つわ天然白髪パーマ野郎!!」


あれ、なんか変な勝負始まったんだけど。


すると、大量の寿司を手にした近藤さんが登場。
「寿司来たぞ〜」と皆に声を掛けるも、返って来るのは白黒コンビの言い争いと、ビールの蓋を開ける音、焼酎の瓶のカラン、とぶつかり合う音のみ。私の動揺する反応に、近藤さんは慣れたように「ああ、いつものことだから気にしなくてOKOK」と机に寿司を並べる。

いやそんな軽い感じで片付けていいことなの?


「俺ウニとイクラはいらねェでさァ。そこのJKが食いなせェ」
『えっ、私も苦手です』
「んだよ。ウニみたいな顔してんのに」
『ウニみたいな顔!?』
「はっはっは、もう仲良くなったみたいで安心したよ」
『いやディスられただけですけど!?』


近藤さんの空気の読めなさにびっくりしながら、沖田とかいうイケメンをきっと睨みながら、私は大きく丁寧に握られたマグロを手に取る。そして口に含む。うん、激ウマい。



それからというものの、白黒コンビはお互いが潰れるまで飲みまくり、沖田さんと私と近藤さんは仲良く三人でお寿司を食べました。うん。とても良い夕飯でした。うん。



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