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見た目こんなんさん



すみません、私家に帰る元気がなくて、車で送ってもらえないでしょうか。

そう言って坪倉さんに頼むも、うーんと苦い顔をされた。私、この後大事な会議があって…。と目を逸らした先で、身長が高い黒いスーツを身に纏った男の人が歩いていた。ひじかたさん。と、坪倉さんが彼に声をかけると、男の人は足を止めてこちらを見た。


「何だよ」
「この子、家まで送ってもらえませんか。土方さん家知ってますよね?」
「あ?…あァ、知ってるけどよ」
「名前さん。ごめんね、この目付きの悪い男の人に送ってもらって。大丈夫。この人見た目こんなんだけど優しいから」
「見た目こんなんって何だよお前」
「分かりました。見た目こんなんさん」
「いやそれが名前じゃねーから」


土方さん(?)は頭を少し掻いた後、分かったよ。と了承した。鍵取ってくっから、外に出ていてくれ。と言われ、私ははい。と頷いた。自分でも吃驚する程、冷静だった。
土方さんが去った後、坪倉さんが私の名前を呼んだ。何ですか、と言わず私は振り返った。


「お母さん達の後を追おうなんて、考えないでね。名前さんには私達が居るから」
「……はい」
「明日はとりあえず学校には行かないで良いから。また警察の人…うーん、土方さんが迎えに来てくれるから。少し髪整えて、顔洗って待ってて」


にかっと笑った坪倉さんの笑顔は無邪気で可愛らしかった。それに私も上手く笑い返せただろうか。心のモヤモヤはやはり取れなかった。



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