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時は春。桜が我が城にも舞い散る。…舞い散ってはいるのだが、それよりもこの軍には鍋の匂いが尋常じゃないくらい漂っている。これも我が軍、小早川秀秋様の鍋好きのせいで…。


「ああ、もう!なによそ見してるの君!鍋が焦げちゃうよ!」
「は…っ!申し訳ございません秀秋様!」
「もう〜鍋がこげたら君たちのせいだからね!僕の今日の気分が一気に下がっちゃうから!」
「も、申し訳ございません…」


そう、この軍の大将は鍋に関してだけ厳しく、戦は好まず、逃げてばかりである。それに対して我が軍の天海様や名前様は本当に逞しい……。


の、か?


「おやおや金吾さん。今日も鍋鍋うるさいですね」
「あぁ天海様!しょうがないよ、鍋は僕の一部なんだから!」


小早川秀秋様に薄く笑いながら言うのは天海様。何処の人なのか、誰に仕えていたのかも分からない。だが戦いの仕方は上手で、指示も上手い。冷静で、物の判断も良し。完璧なのだが…。


「何ボサッとしているのです?金吾さんに怒られますよ。フフ…」
「も、申し訳ございません!」


私は急いで鍋をかき混ぜに向かう。はぁ…今日も忙しい。




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