コネタ部屋 - - - - - - - - - - - ▼ グーダラ海軍日誌。番外編 空は快晴、風は穏やかに世界を撫でる。 「あ゛〜…」 ぽかぽか陽気の中で縁側に座り、まるで熱い湯に浸かった江戸っ子のような声をあげる青年が一人。 正義の文字が刻まれたジャケットは海軍である証。 日光浴でもしているのか、持参していた温かいお茶をズズッと音を立て緑茶を啜る。 「こりゃ!」 「い゛っ!!」 お茶請けの饅頭に手を伸ばし口にしようとした瞬間、頭頂部に衝撃が走る。頭が割れるのではないかというぐらいの強い衝撃に持っていた饅頭を落としてしまう。あまりの痛さに頭を押さえ上を仰ぎみると、そこには怒りの表情のガープが立っていた。 「げ、ガープじいちゃん」 「お前はこんな所で何をしとる!仕事はどうした!」 「てか、人の頭をいきなり殴るとか人としてどうかなって思うんスけど…」 「愛の鉄拳じゃ!」 「愛あり気で頭が割れたら洒落にならないッスよ…てか、あの人には言わないんスか?」 ぶつぶつと文句を呟く青年は自分の隣で寝ている男を指差す。 青年の隣には大将青雉の姿がある。日の光が眩しいのか、いつも頭に付けているアイマスクを装着し、ぐーぐーと鼾を掻きながら爆睡している。ガープはそちらに眼をやり、青年にやったのと同じ強さで青雉の腹を殴る。 突然の腹への衝撃はかなり効いたらしく、あの青雉が声を上げていた。 「がッは!げふ、…あ?ガープさん?今のアンタか…」 「寝とらんと仕事せい!」 「今ので違う意味で眠りそうになったが…仕事ねェ…」 「そーだそーだ。真面目に働け〜い!」 「お前もじゃ!」 「で!また殴る!暴力良くない!ダメ、絶対!!」 「愛があれば暴力にはならん!」 「どんな理屈?!愛があっても暴力は暴力だ!」 「何じゃと?!この小童が!やるか!!」 「やだよ!じいちゃんとやって勝てるか!!オレは平和主義者なんだ!」 腕まくりをしてやる気満々のガープから逃げるため青雉の背後に回り込む。このままではまずいとポケットの中を探りあるものを掴み取り出した。 「じいちゃん!こんなところにこんな物があるんですが!?」 「むっ?これは…」 「この間行商から買った煎餅です。それに合う茶葉もセットで買ったんですが、一緒にお茶しませんか?」 ガープ対策用に持っていた煎餅と茶を差し出し、様子を窺う。 「仕方がないのお…やりたくないもんを無理にさせる訳にはいかんな」 「ですよねー!さ、どうぞ。粗茶ですが。良ければ饅頭もどうぞ〜」 「うむ」 悩む素振りすら見せなかったガープは、すぐに煎餅を手に取った。すかさず隣に座りガープ用の湯飲みに温かい茶を淹れる。バリバリと煎餅を食べるガープに、勝った、と内心でガッツポーズを決めた。 二人が何やらしている間に、いつの間にか青雉は夢の中に戻っているようだった。 「うまいのお!」 「でっしょー?じいちゃんの為においしいの仕入れました」 ちゃは、と可愛くもないポーズを決める青年にガープはすっかり丸め込まれたようで、うんうんと感慨深げに頷く。 「お前はいい子じゃな」 「ですよねー!!さっすがじいちゃん!分かってる!!…なのにオレの上司は全く分かってくんないんスよ…」 「うむ」 「いっつもオレのことばっか怒ってさ、たしぎには何か甘いし。あの二人絶対何かあると思うんスよ」 「そりゃいかんな!」 「でっしょ?!に、してもあんな貧乳がいいなんて…オレのことも分かってないし、見る目がないにも程がある。や、でもヒナさんに関しては見る目あるんだよな…」 「ふむ、そうなのか?」 「だってヒナさんスよ?!オレの憧れの人!あんな美人で強くてかっこいいなんて…しかも超ナイスバディ!!くっそ、オレもヒナさんの部下になりたい!あんな煙草臭くてむさ苦しいおっさんの部下なんかしたくねェ!!」 「そうか。おれもお前みたいな部下はごめんだ」 「オレもだよ!―…って、あら?」 打たれた相槌に返しはしたものの、何かがおかしいと気付く。背後を振り返れば、そこには額に青筋を浮かべた鬼の形相のスモーカーが立っていた。 「あれ?スモーカーさん。アンタ何してんの?仕事してこいよ」 「それはおれのセリフだ!このクソガキ!何勝手にいなくなってやがる!!ちゃんと付いて来い!!」 「え、何それ?おれに付いて来いって、そんなにオレがいなくて寂しかったんスか?うわァ、ないわ〜…」 「おれもない!そうじゃなくて、仕事しに来いっつってんだ!!何の為に出勤してんだ!?」 「何の為?そんなの決まってんじゃないスか!ヒナさんのナイスバディを拝みに来てんだ!!決してアンタの筋肉ボディを見に来てんじゃない!」 「見られても気持ち悪いだけだ!」 「気持ち悪いって言う割りには前全開ですよね!ほんとは見てほしいんじゃないスか?この露出狂!ヒナさんにフラれちまえ!!」 「誰が露出狂だ!!煩悩全開で仕事に来てんじゃねェ!」 「え?何?じゃ帰っていいんスか?マジッスか?よっしゃ!なら帰らせていただきます!」 「いいわけねェだろ!自重しろって言ってんだよ!仕事なめてんのか?!」 「失礼な!オレがなめてんのはスモーカーさんだけでさァ!!」 「ほお…」 「あ、」 口が滑ってしまったと思った時には既に遅く、さすがのスモーカーも今の発言にはキレてしまったらしくプルプルと小刻みに震えている。 額の青筋が増えているように見えるのはきっと見間違いではないはずだ。 「どうしたんスか、スモーカーさん。プルプル震えて寒いんスか?だったらジャケットの前留めたほうがいいスよ。それとも産まれたての仔鹿の真似ですか?全然似てないスね!じゃ、オレはこれで。仕事戻りまー、ぐェ!!」 ペラペラと一人でそれだけ言うと、仕事をしに行こうと立ち上がり走りだした瞬間フードを掴まれ、本部だということで珍しく前を留めていたせいで喉が絞まる。 「げっほ…!何するんスか!?離せ、このロリコン筋肉親父!!」 「誰がロリコンだ!」 「アンタに決まってんだろ!たしぎとニャンニャンしてやがるくせに!たしぎがいるんだからヒナさんを寄越せ!!オレのビーナス!」 「誰がするか、そんな事!年中発情期のお前と一緒にするな!!」 「オレの好みはヒナさんのようなボン、キュ、ボン!だ!!たしぎ相手じゃ勃つモンも勃たねェよ!」 「テメェの粗末なモン二度と使い物にならんようにしてやろうか…!」 「ちょ、マジそれだけは勘弁…っ!てか、仕事するって言ってんだから離せよ!このバカ上司!!」 「仕事はもういい」 「…へ?あ、マジ?じゃ帰って、」 「その代わり」 「え?何?ベッドのお供しろってか?それは無理。勘弁してください」 「うっかり殺しちまいそうだから黙れ…これからたっぷりと鍛練に付き合ってもらうからな。死んだほうがマシだと思えるぐらい」 「、うっわァ〜…鬼畜い顔…」 ズルズルと引き摺られていく青年は、胸の前で手を合わせ心の中で自分の冥福を祈った。 ▼ 一緒に考えた友達からもらいました! ギャグが苦手なのに打ってくれたよ(`・ω・´)まじ感謝! ( × | ▽ ) |