補習授業 愛那様・ミスガジ学パロ
※学パロ
ミストガン→先生 ガジル→生徒
暑苦しい日差しが降り注ぐ夏休み。 快適とは言い辛い教室にぽつんと座らされ、使った形跡のない教科書を開き、欠伸を一つ。 何で夏休みなのに学校に来ているんだろうと表情に不満が現れていたのか、教壇に立つ色男が態とらしく咳払いをした。
「ガジル、まだ始まったばかりだが?」 「だってつまんねー…」 「つまらない、じゃない。君が授業をさぼって単位を落としているんだろう」 「授業つまんねー」 「ガジル…」
開いてもよく解らない数式しか書かれていない教科書を閉じて机にうつぶせになる。 教壇の色男、ミストガンはぱたんと教科書を閉じて苦笑を浮かべた。
グラウンドからは部活に励む生徒の声。 暑い中頑張っているな、と他人事なのは帰宅部だから。 ガジルに背を向けて黒板に数式を書いていくミストガンを恨めしそうに睨んで唇を尖らせる。
「海行きたい」 「単位を落とした君が悪い」 「アニメの再放送見たい」 「録画で我慢しろ」 「ミストガンと遊びたい」
瞬間、パキッと良い音を立てて、チョークが折れた。 してやったり、とガジルの口角が上がり、眉間に皺を寄せて振り向いたミストガンを見上げる。 怒っていると思えば、深く長いため息、そして遂に教卓に放置される教科書。 上がる口角を隠すことなくガジルも教科書をしまった。
「私のデートプランを補習で潰した君がそれを言うか…」 「だって単位落とすと思わなかったんだもんよ…でもいーじゃん!何とか誤魔化しといてくれよ!!」 「それが狙いか」
隣の席の椅子を引いて座ったミストガンの視線がチクチクと痛む。 しかし知ったことか。 教科書の代わりに、携帯とレジャー施設のガイドブックを引っ張り出して、机の上に広げる。
「予定考えよーぜ!」 「ガジル…私達の関係は秘密なんだぞ?」 「だから遠くに行くんだろー?俺、USJ行きたい」 「…今日の補習は?」 「この後ミストガンの家でやる」
センセーよろしくお願いしまーす!! やる気のない声にどっと疲れが押し寄せるような気がした。 そんなミストガンの心情を知ってか知らずか、ガジルは楽しそうにガイドブックを捲り、鼻唄を歌っている。 いつのまにかポテトチップスまで机の上に出ていて、またため息の原因になった。
「授業もそれくらい真面目に出てほしいものだな…」 「ミストガンの授業は出てるだろ?」 「他の授業も、だ」
パリパリ、コンソメ味のポテトチップスを互いに頬張る。 ミストガンも見てくれよ、と楽しそうにガイドブックをすすめられ、椅子を寄せた。 こんなところを他の教員に見られたら怒られるとかそんな小さな騒ぎではすまないだろうと思いつつ、ここがいいあれが見たいと指折り数えるガジルに笑みを浮かべる。
補習の担当を受けたのはガジルの為だ。 そうすれば、出掛けることは出来ないが一緒にいられる。 しかし最低限の勉強はさせたい。 そう思っていたのに、結局のところ、ガジルにはどうしたって甘くなってしまう。
「あ、今日花火しようぜ!ミストガンちに行く時に買ってくからよ!!」 「補習もするぞ」 「ミストガン乗り悪ぃー」 「補習もしたら、アイスもつけてやる。ハーゲンダッツだ」
ほら甘い。 滅多に実費で買わない高級品に、ガジルの瞳が輝く。 味はストロベリーと決まっている。 頑張る!と頷いたガジルの頭の中はご褒美でいっぱいに違いない。
夏休みの計画を立てている内に正午を知らせる鐘が鳴り、二人揃って顔を上げた。 補習は午前中だけ。 本当に何も補習をしていない。 中途半端な数式が一つ寂しく書かれた黒板が虚しい。 自然と出たため息を気にする様子もないガジルは意気揚々と帰り支度を始めた。
「何してんだよミストガン、帰らねーのか?」
こてんと首を傾げる姿が可愛くて抱き締めたい衝動を抑え、黒い癖毛をくしゃくしゃと撫でる。 何だよー、と満更でも無さそうな声が胸をくすぐった。 そして、無意識に動いた体は、そのまま唇を塞いだのだった。
E N D
愛那様、お待たせいたしました…!! ミストガンは先生になりました。メガネ装備で。メガネは外せません! 変態指数ゼロのミストガンは珍しいなと思いますがいかがだったでしょうか… いらない設定ですが、ミストガンの同期にラクサスとエルザもいます。ガジルの天敵で。
リクエストありがとうございました!!
飛鳥
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