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綺麗な夕暮れ。
日が落ちるのも段々早くなってきて、夏の終わりを実感する。

「ただいまー」
仕事の報告を終えて帰ってきたガジルは、違和感を覚えた。
…そういえば、今日リリーはいないんだっけ。
結構買い込んでしまったけど、とため息混じりに靴を脱ぐ。

するとリビングのほうから、だだだだだっ、とすごい音がした。
「ガジル!おかえり!!」
そのままの勢いで胸にダイブされても受け止められるわけもなく。
というか押しつぶされて胸が痛い。
深く考えず、殴り飛ばした。
「いてぇ!!」
「卵が割れるだろうが。それより、なんで中にいる」
「へ?」
至極当然の疑問を投げかけたつもりだったのだが、何を言ってるんだ、という顔をされた。むかつく。


「俺たち、同棲し始めたじゃん!!」


「ガジル忘れてたのか!?最愛の夫が一緒に住むという重要事項を!?」
「あーこの牛乳賞味期限短いな。失敗した」
「スルー!!」
あの後、一瞬の間を置いて、同棲という事実を思い出したガジル。
…あぁ、悪い。忘れてた。
そう言って冷蔵庫の前に陣取ったのだが、ナツがその後ろで吠えているのだった。

「飯できたぞー」
「………」
「いつまで拗ねてんだよ。いらねぇの?……せっかくナツのために作ったのになぁ」
少し照れながらものすごく小声で言ったにも関わらず、隅っこでいじけていたナツは既に席についていた。
「いただきます!!」
「うるさい。いただきます」
ガジルもよく食べるほうだが、ナツはもっとすごい。
買いすぎたかと思っていた食料も、すぐなくなってしまいそうだ。
「それにしてもさぁ」
「何だよ。まだ文句あんの?」
「だって俺ガジルと一緒に住めて超嬉しいのにさ、ガジルはそうでもないのかなって…」
箸を握ったまま俯くナツ。
「ナツ…」
ガジルは一旦箸を置くと、にこりと笑った。
「…そりゃあ、私だって嬉しいよ?」
「ガジル…っ!!」
もちろんさっきの落ち込み様は演技。
「でもな、」
ばっと顔をあげたナツが固まった。
「同棲以前から勝手に上がりこんでたし、同棲初日から襲われそうになったりギルドでのセクハラが悪化したり他諸々、いろんな原因があるわけだ」
ナツの背筋が凍る。
「それで、ナツには我慢が必要だと思うんだよ」
ガジルはさらに笑みを濃くした。
「わかってくれるよな?」
「は、はい…」







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