続・彼シャツまであと一歩 ♀コブ・学パロ♀



ファミレスの一角で、ガジルは深刻な顔をしながら大好きなケーキを見つめていた。
その姿を、紅茶に砂糖を溶かしながら見つめるコブラ。
相談があると言われたのだがそんなに深刻な話なのだろうか。
不安になってきたところで、ガジルがやっと顔を上げ、口を開いた。

「なぁ、コブラ」
「ん?」
「……Hって、痛い?」
「はぁ!!?」

飲もうとしていた紅茶をソーサーの上に叩き付けるように置き、コブラは叫んだ。
え、何、この子いきなり何言い出してんだ!!?
驚き固まるコブラに、顔を真っ赤にさせたガジルはケーキをつつきながら続ける。

「あ、あのな、この前、ナツんちに行った時に…その…初キス、して…」
「は?ちょ、何、キスもまだだったのか?とっくに済ませてるもんかと…」
「は、話ずれてる!!で、あの、次に家に来た時に…ヤろう、って…」

ぷしゅう、と頭から湯気を出すガジルはそのまま顔を覆った。
聞いているこっちが恥ずかしくなりそうだ。
とりあえず、話をまとめよう。
この前初めてナツとキスをした。(ちなみにガジルのファーストキス)
で、次に家に来たら、Hをしようと言われた。(言わずもがな、ガジルは処女)
なので、既に体験済みのコブラに助言を求めよう、と、そう言う事だ。

「…ちなみに、次にあいつんち行く予定は?」
「………明日」
「あー…ガンバ」
「だ、だから、コブラに話聞こうと…!」
「わかった、わかったから泣きそうな顔すんな!」

泣き出しそうなガジルにケーキを勧め、自分の初体験を思い出す。
確か、ミッドナイトと付き合い始めて半年くらい経ってからだったような…
ヤバい、恥ずかしくなってきた。
しかし、大切な友人の為だ、と言い聞かせて記憶を辿った。
顔が熱い。
ガジルほどではないが、赤くなっているに違いない。

「………痛いかって言われれば、痛いな」
「うぅ…」
「でも、まぁ、ちゃんと解かしてもらえばそんなに痛くないんじぇねーの?痛みは人それぞれって言うし」
「そっか…そうだよな…」
「ってかさ、それも大事だけど」

もごもごとケーキを頬張るガジルも身を乗り出す。
赤い瞳が瞬かれ、ガジルにしか聞こえない音量で口を開いた。

「ゴムとか、ちゃんと用意してくれてんのか?あいつ」
「ごっ…!!?」
「声大きい!!」

いらぬ事まで叫びそうなガジルの口を塞いだ。
危ない、今のは危なかった。
しかしこれは大切な事。
身体を重ねる、すなわち命を宿す行為。
そんなに軽い行為ではないのだ。
好きな相手と一つになりたいのはわかる。
だからこそ、ナツにはしっかりと自覚してほしい。

「用意は、し、してるって、言ってた」
「そうか。それならいいや。もしも生でしようとしてたら、握りつぶせ」
「…何を?」
「あいつの息子」
「………善処する」
「おう」

おしぼりをぐしゃりと握ると、ガジルは顔を引きつらせながらも頷いた。

「で、最後に一つ」
「うん」
「この後下着買いに行くぞ」
「へ?な、何で?」
「何でって…勝負下着、持ってないだろ?とびっきりエロいやつ選んでやるよ」

ケーキを食べ終えたのも確認して伝票を掴む。
下着で金を使うんだから奢ってやるよ、と言えば全力で拒否された。
白で清楚な下着もいいが、黒や紫で大人っぽくいくのもいいかもしれない。
パンツは紐パンにしてナツを驚かせてやってもいい。

「コブラ!私、いつものでいいから…!!」
「えーつまんねーじゃん。ドラグニルを喜ばせたくねぇの?」
「よ、喜ばせるとか、そんなんじゃなくて…!」

とりあえず、明後日は初体験の感想を聞かせてもらおうかな。



E N D



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