▼ ニャンとワンだふる‐03
「ふああぁああッ!」
体の中枢に溜まっていた熱い疼きの塊が一気に弾け、意識が真っ白に染まる。
リクとアズキの手を握りしめながら小春は突き抜けていく甘美な法悦に胸を仰け反らし乳房をブルッと揺らして淫声を響かせた。
伸縮する膣内から指を抜き出して絡みついた愛液を舐め取り、アズキはハァハァと苦しげな呼吸を繰り返す小春の顔を覗き込む。
「どっちの指でイッた?」
「へっ…?」
強気な笑みで詰め寄られ、脱力しきった体を無意識に強張らせる小春。
そんなことを聞かれても、あまりにも刺激が強かったせいで自分がどうやってイッたかなど小春は把握していなかった。
「僕だよね?」
「ふぁうッ!」
どう答えたらいいかわからず戸惑っていると、リクが優しく囁きながら小春の耳をペロリと舐め上げた。
発熱した耳よりもさらに熱い舌に耳の輪郭をなぞられ、小春は胸の奥で情欲の残り火が再び燃え広がり始めるのを感じながらゾクゾクと腰元を痺れさせる。
「俺だろ? だって俺の指めちゃくちゃ締め付けてたもんな?」
「やっ…! あ、あンッ」
アズキはリクに対抗して首に付けた赤い痣を噛み舌を這わせる。
またしても弱い部分を同時に責め立てられ、小春の身体はあっという間に淫らな疼きに呑まれていく。
「ね、どっち? 教えて、小春」
「この際だから俺とバカ犬どっちの方が好きかはっきり決めようぜ」
「そっ、そんな…のっ…わかんないよ…っ!」
せめぎ合う快感に耐えながら小春は必死に叫んだ。
「リクもアズキも大好きだからっ…どっちの方がいいなんて決められないよっ…!」
「…ふーん?」
決着のつかない答えに不満げな声を漏らすアズキ。
しかしすぐに何か悪いことでも思いついたのか、仏頂面をニヤリとした笑顔に変えると小春の顔を覗き込んで言った。
「つまり、両方とも欲しいってことだな?」
「…ふぇっ?」
「欲張りなド変態だな小春は」
「えっ? なっ、なんでっ…!」
突然「変態」とからかわれて小春は思わず声を荒げる。
そんな小春を尻目にアズキは飄々と立ち上がってベッドの近くの棚をあさり始めた。
「ほい。“前”はお前に譲ってやるよ」
そう言ってリクに何かを投げ渡す。
「…あっ…」
それが何なのかわかった瞬間、小春の身体が反射的にビクッと疼いた。
目を伏せてモジモジとし始めた小春と受け取ったコンドームを交互に見やり、リクは小春の頭をそっと撫でる。
「…小春、…挿れてもいい?」
「へっ…! ぁ、えっと…っ」
「わざわざ聞かなくても、ここはもう待ちきれなさそうだね」
「ひゃっ…! あッ…んぅぅっ…!」
表面でさえもトロトロに濡れそぼっている蜜壺に指を滑り込ませると、ジュブッと音を立てて新たな愛液が溢れ出した。
リクの言った通りそこは蕩けるほど熱く、指じゃ物足りないと訴えるように切なげに伸縮を繰り返している。
「僕も、我慢できない」
「っ…!」
余裕のない声色で言うとリクは小春を力強く抱き寄せた。
「小春が欲しい…っ」
熱く大きなリクの体に包まれ、胸が高鳴り頭の芯が痺れだす。
大好きだった愛犬に抱かれるというあまりに非現実的な展開に小春の頭の中はこれまでの激しい刺激も相まってクラクラと眩暈を引き起こしていた。
…けれど胸を焦がす熱情も、下腹部の疼きも否定することはできない。
戸惑いや背徳感を呑み込み、小春は濡れた瞳でリクを見詰めて口を開いた。
「…リク…、挿れて…っ」
「あーっ、待った! 小春が上な」
愛する小春に求められて一気に情欲を爆発させたリクは小春を組み敷いた。
しかしそれを2人の間に割り入ってきたアズキが強引に中断させる。
「はっ…? なんだよバカ猫っ!」
「だからお前が下になんの。さっさと寝ろ」
「うわっ!?」
「んで小春が上に乗って」
無理やり場所を変えられ2人は騎乗位の体勢となった。
秘部にリクのモノが押し当たり、小春はとっさに小さな鳴き声を漏らして身体をビクつかせる。
そんな淫らな姿を目にしてリクの熱塊はますます硬く荒立った。
大嫌いなバカ猫に強制されたとはいえ、この眺めはなかなか悪くない。
同じ“見上げる”という視界でも犬のときでは見ることのできなかった光景にゾクゾクと興奮を高めながらリクは小春の手を包むように握りしめた。
「小春、自分で挿れられる?」
「んぅっ…! かっ…顔、見ないでっ…」
ゆるりと腰を上げて自身を割れ目に押し付けると、小春の肩がビクンッと大きく跳ね上がった。
恥ずかしそうに慌てて顔を背ける小春を見上げ、リクはクスクスと悪戯に微笑む。
「腰下ろして」
「…っふ…、ぅ…ッあ! ぁああ…っ!」
リクの言葉に従いゆっくりと腰を下げてリクのモノを自ら挿入させていく。
蕩けた肉壁が割り開かれ削られていく感覚にたちまち甘い痺れが込み上げて、小春は汗ばんだ背中を何度も震わせて悩ましげに声を上擦らせた。
「小春と一つになれるなんて、夢みたいだ」
熱い媚肉の圧迫に酔いしれながらリクは吐息混じりに囁いて小春の遠慮がちな腰を掴むと一気に自身を根元まで埋め込んだ。
「ひああぁあッ!」
鋭く膣内をえぐり、切っ先が最奥を突き上げる。
下腹部から脳天へと快感が電流のように貫き、その衝撃に体を支えることができず小春はリクにもたれ掛った。
「気持ちいい?」
「ふあっ…! あぁッああぁっ…!」
内壁を擦られ、深い所をなだらかに打ち付けられ、快感が波のように幾度も押し寄せて小春の意識を呑み込んでいく。
喘ぎ声が途切れず言葉を発することがままならない小春はリクの胸元に伏せた頭をコクリと頷かせてリクの手を力いっぱい握り返した。
「ほんと? よかった。…今までの男のことなんて全部忘れちゃうくらいもっと感じて」
「んあッ!あ、ぁ…っリク…!」
「…さっきからちょいちょい2人の世界に入るのやめてくれる?」
「きゃあぁっ!?」
突然下半身にビリッと裂かれるような痛みが走り、身体を固く強張らせる小春。
そのビクビクと跳ねる背中を見下ろしながらアズキは第一関節まで入れた人差し指に更に力を入れて小春の後ろの腔に捩じ入れた。
「い、たっ…! やあっ…あッうぅぅっ」
「バカ猫!何してるんだよ、小春が痛がってるだろっ」
「すぐ慣れるだろ。だって、一人でするときたまにこっちの穴も弄ってるもんな?小春」
「…っ!! ぅ…っふ、ぅぅ…っ!」
そんなことしてない、と否定することができず小春はリクの胸元に余計に頭を押し付けて恥ずかしい声を噛み殺す。
…長い間この部屋で共に過ごしてきた二人は何もかも知っているのだ。彼氏と行為をしているところや、自慰にふけっているところ、その他のいろんな恥ずかしい姿を全部。
それを改めて思い知った小春はこの上ない羞恥心に苛まれて体中の血を沸騰させる。
「いっつも指どうやって動かしてんの? こう?」
「やぁあッ! やめ、てっ…!」
「やじゃねーだろ。ココに指入れたらすぐイクくせに」
「っぅう…! そっ、そんなこと、言わないでよ…っ!」
溢れかえる羞恥に涙を滲ませる小春。
しかし身体は秘穴から与えられる不慣れな快感に素直に反応して、アズキの指やリクの自身を無意識に締め付けて悦びを露わにしていた。
「…小春、もっと力抜いて」
アズキと同じく小春の全てを見てきたリクは、快楽と恥辱の狭間で惑う小春を見かねてそっと頭を撫でる。
「やっ…! 見ないでっ…!」
顔を引き寄せられ、小春はこんな恥ずかしい自分の顔は見せられないと抵抗をみせる。
けれどリクの優しい力に不思議と導かれ、二人は視線を重なり合わせた。
迷いのない深く澄んだ瞳に見つめられて小春の目から自然と涙がこぼれ落ちる。
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