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肩を押していた手はねだるように黒髪をくしゃりと混ぜて、指に絡ませた。舌の先が包むように乳首に被さり、れるれると横に動くと腰が甘く痺れ、はしたなく陰茎からは雫が溢れる。にちゃりと微かに立った音に気付いて、喉の奥で万里がくっと笑ったような気がした。

「や、笑わな…ぁ、んっ、あぁ…」
「かわいい」
「かわ、いくない…っ、ひぁ、んん!」
「んちゅ、ちゅうぅ、咲弥のおっぱい美味しいから全然飽きないよ」
「…ば、ばかじゃないの…あっ!あっ」

体の奥の方が切なくなって、縮こまるように脚で万里の脇腹をぎゅうっと挟んだ。そうするとより体が密着して、切なさが少しだけ緩和される。

「んっ、ふ」
「はん、あぁ、ぁ、んゃ、やぁ…あっ、ああ」

舌で擦られ柔らかく吸われながら、片方は軽く摘まれて引っ張られる。その緩急のつけ方に徐々に咲弥の声は大きくなっていき、語尾は甘ったるくとろける。

「あ、そんな…やぁ、あ」

背中から汗が浮かんできて、額もうっすらと濡れた。すっかり興奮して熱くなった体は気持ち良さに溺れていきアソコは煮えたようにぐちゅぐちゅだ。

「や、やだ、もう、」
「んー?」
「おっぱい、いじんな、で…」
「好きでしょ?」
「でも、そこばっか」
「ワガママだなぁ」

そういう所、すっごいカワイイよ。まとわりつくような色気のある声で囁かれ、無条件に胸がときめく。顔が熱くなり、脳内で可愛いという言葉が反芻された。以前はこんなことなんて無かった。「ウザい。ムカつく」なんて感情しか無かったのに、今は恋をしてしまっている。

『私は本当に、天空くんが好きなんだ…』

この気持ちが本物でも、彼の操る魔法による偽物でもどちらでもいい。もういい、咲弥は逃げたいんだから。
彼に転がされ、翻弄され、ぐずぐずに甘やかされたいんだから。

その時、部屋の隅に置かれている観葉植物がさわさわと動き出した。ブラッサイアというそれは、細い幹から茎が伸びて、丸い葉をふさふさと生やしている植物で、その柔らかそうな茎と茎が捻りながら伸びていく。
木属性の魔法だ。

葉や茎が触手のように滑らかに動き始め、床を這い、ベッドへと。

「やりやすくしていいよね?」

確認というよりも命令に近い問い掛けに、咲弥は頷く間もなくブラッサイアに触れられた。
瑞々しくテロンとして柔らかな葉と茎の束がそっと足首に巻き付き、ゆらゆらと揺らしながら持ち上げていく。

「あ、や…」

両足首それぞれに巻き付かれ、Vの字になるように開かされた。大事なところが全て見えるような姿にされて思わず両手で顔を覆い隠す。流石にこれは恥ずかしい。

「やだ、これっ!やめて!」
「痛い?」
「痛いとか痛くないとかじゃなくてっ…やだ、やだよ、見ないでよ…」
「気にしないで。俺しか見てないから平気だよ?」
「そんな、」

「今まで散々明るい所で見られてきた」とか「雨のおかげで部屋がある程度薄暗いんだからまだいいじゃないか」とかそんな問題ではない。体制が恥ずかしすぎる。
せめてM字開脚ならまだ幾分いいのに、と思っても「M字開脚」という単語を口にすることすら恥ずかしくて、「うー…」と唸りながら必死に赤い顔を隠すしかない。

「心配しないで、ちゃんと気持ち良くするから」

そんな咲弥の心情なんて万里には丸わかりなのだろう。楽しそうにフフと笑ったかと思うと、尻の下に両手を入れて持ち上げ、ぬるぬるになっている陰茎をパクッとしゃぶったのである。

「ふぁ!」
「んっ」

ダイレクトに舌を裏筋に当てながら、ちゅうっと吸われて甲高い声が上がった。何回もそこをいじってきたせいか、万里は咲弥の気持ち良い所をよく解っていて、的確にせめてくる。

「ああ!あっ、あんっ!」

望んでいた刺激に体は喜んでカウパーを放出しまくった。じゅぶじゅぶといやらしい水音がすぐに耳に届く程の濡れ具合いで、自分の浅ましさがバレてしまったみたいで「いやぁ」と首を横に振る。

「んんっ、ちゅうっ、すごい、美味しい」
「んぁっ、あぁ、はぁ、あまぞら、くん…」
「とろとろだよ。もっと舐めてあげるね」
「ふ、うぅ…も、出ちゃう…」