∴ 16 「僕、早く部屋に戻らなきゃいけなくて…その用事はここではダメなんですか?」 「うはー!ここだってよ!ここ!中一のくせにド変態だぜ!さっすが、白河のオンナだよなァ?」 「え?え?あの、先輩たちは…?」 始終、桜介を馬鹿にしたような態度を取りながら、寮内を進む彼ら。一階の渡り廊下を通り、まだ行ったことのない高等部の寮へと桜介を連れていく。 昨日、鷹臣に拐われた時のような強引さで、ぞわぞわとした嫌な予感しかしない。 『なに、なに、僕、また何かされるの…やだ、怖いよっ!』 駄目だ。鷹臣も怖かったけれど、この三人はもっと別の次元だ。 どう言えば良いのかは分からないが、鷹臣よりも残酷で、外道で、卑劣なものに思えて仕方が無い。 鷹臣もこうして強引に桜介を拐って行ったが、彼にはまだ品性と知性が見えていたように思う。それは所作だったり、桜介を触る時の手付きだったり、すぐには気付きにくい動きに表れていた。何だんだ言ってもお坊ちゃまだという事だ。 しかし彼らにはそれらが見られないから恐い。 「よーし、入れよ」 連れていかれた寮の部屋が、正に野蛮さを表していた。 『うわ、汚い…』 扉を開けると、端から端まで汚い物のオンパレード。 空になって積まれたカップ麺の容器に、空のペットボトルが転がっている。スナック菓子のカスも落ちているし、黄ばんでいるシャツがそこかしこに脱ぎ捨てられている。 未成年なのに煙草でいっぱいになった灰皿がいくつもあるし、煙草臭かったり汗臭かったりと空気が悪い。 縮れた毛や、卑猥な雑誌まで落ちていて、桜介は全身に鳥肌を立たせ、青ざめるしかなかった。 こんな部屋に入れというのか… 「おら、突っ立ってんなって!」 「わっ!」 体を硬直させていると一人に突き飛ばされ、そのまま玄関へと倒れ込む。すると、戸が閉まり施錠される音がした。 振り返ると三人はニヤつきながら見下ろしていて、こうなるともう嫌でも何をされるのかが解る。 「恵ちゃんさぁ〜西條雅知ってんだろ?」 散々聞いたことのある名前だ。鷹臣の恋人なのだから。 「俺らさぁ、西條には興味ねーんだけど、西條ファンのうちのかわい子ちゃんは別なんだよな。その子がもう悲しんでんだよ「僕の西條様が傷ついたー」ってよォ」 「お前が来なきゃ白河は西條と続いたまんまで、平和だったのになぁ、アーア」 「その子も泣かずに済んだわけだよ。だからさー」 −罰、受けなきゃダメじゃね? 嫌な予感はその通りとなる。 「やめて」と叫ぶ前に簡単に俵抱きをされると、そのまま部屋の奥へと運ばれ、埃っぽいぺしゃんこのベッドへと落とされた。 背中や腕に痛みを覚える前に、屈強な男達にシャツを巻くられ、包装を破くように乱暴に脱がされてしまう。 「うわー!やっぱただのガキだな!」 「白河はこれに手出してんのかよ!変態じゃん!」 まだ成長しきっていない幼い半裸を見られ、桜介の頬は一瞬羞恥の色で染まるが、それよりも恐怖の方が強く、すぐに顔は真っ白になり死にそうな気分になった。 「やだ、やめて下さい。僕はもうこの学校を出て行きますので…」 「んなもん知らねーよ!おらっ、下もだ!」 「きゃっ!やめて!」 パンツのウエストゴムを大きな手が掴み、滑るようにつるんと脱がす。簡単に全裸にされてしまい、隠すように腕を伸ばすが、男に両腕を掴まれ、万歳をするように拘束されてしまった。 「あれー?恵ちゃん、パンツはいてねーの?」 「は?ノーパンでズボンはいてたのか?うっわ、マジで変態じゃね?」 「じゃあ、俺らにこうされても仕方ねぇよなぁ」 「っ……」 足首を掴まれて持ち上げられてしまう。 昨日、鷹臣に散々いじられたソコを凝視されながら、屈辱的な言葉を投げられ、桜介は目に涙をいっぱい溜めた。 怖くて泣くことしか出来ない。 「おー、ちんちんもまだガキだなぁ。すげーカワイイサイズじゃん。写メ撮っとけよ」 「分かってるよ。なあ、それ勃つのか?ちゃんと楽しめる?」 「別に勃たなくても突っ込めりゃあいいだろ。白河のお手付きならガバガバだろうしな。おら、ケツの穴も見せな」 恐ろしい想像が頭を駆け巡り、ひっくひっくと喉を鳴らして涙を零した。その姿を見て男たちは笑いながら桜介の腰や脚を持ち上げ、肛門をじろじろと観察してくる。 |