∴ 4 「ひっ、うっ、や、ぁきらんくん、やだ、…」 「いいよ。ちゃんとしてあげるから」 その瞬間、ぬるっとした感触が桜介を襲った。気付いた時にはもう遅く、腹の下にアキラの綺麗な髪がある。 「あぁ!あっ、ひん、ひ…!」 「んちゅ、ちゅっ」 いきなり陰茎を銜えられ、つま先が空を蹴る。 求めていた刺激が想像以上のもので、視界がうわんと歪んだ気がした。 『うそ、だめっ、だめだめ!出ちゃうよお…!』 視姦され、言葉で嬲られ、これでもかと羞恥に染まった躰はもう限界だった。部屋に来てからアキラを意識して興奮していたせいだろう。そんな状態から、フェラチオなんてされてしまっては堪らない。 優しく舌が上下して、つるつると亀頭部分を舐められ、馬鹿みたいに腰がガクガクとしてしまう。 「やだぁ!やだ!あきらくんっ、ぼく、いっちゃ、いっちゃぅ、のっ…!」 「んっ、いいよ…んぢゅ」 「す、すわなぃ、で…!」 欲液が下半身を駆け巡り、出口を求めているのが分かる。その出口へと導くようにアキラの頭が上下し、押し出すように睾丸を軽く握ってきた。 「それっ、だめっ、いや!いっちゃう!いっちゃ、あきらくん、やだ、ゆっくり…!」 汗が吹き出し、同時に躰が硬直する。 その刹那、 「ぁんッ!あっ、あっ、あぁ〜!らめぇ…!!」 たがが外れたように腰を中心に痙攣し、がくんがくんと足が空を蹴った。 同時に放出される精液… −びゅるっ、びゅびゅっ! まるで躰の底から無理矢理出されたような射精に、桜介はあーあーと喘ぎ続ける。 アキラの口がきゅっと窄まり、追い討ちをかけるように吸われ、馬鹿みたいに乱れた。 「ふぁっ、ああん!あうぅ、あー!あっ、あっ」 何度もシーツを蹴り、アキラの髪の毛を掴み言葉にならない声を上げて涙を流す。もうイッたのだからそっとしてほしいのに、彼はしつこくて敏感になっているそこの口淫をやめない。 「やぁだぁっ、いやっ、やぁ…!」 口淫は優しいのに、強過ぎると感じるくらいで、桜介は思い切りシーツを踵で蹴り、アキラから逃げた。 やっと唇が離れて、快感の渦から脱出する。脱力してしまい、指にすら力が入らない。辛うじて膝を立て、躰を曲げた。 「ん、凄い美味しかったよ…」 「はあはあはあ……」 口元を親指で拭い、何事もなかったかのようにそう報告するアキラ。 対して桜介は何も言えず、息を整えることしか出来ずに、放心する。 『なにこれ…すごかった…』 −全然、力が入らない… 放埒し、涙を流しながらぼんやりと思うことはそればかり。 前回とは違う快感がそこにはあったのだ。 何がどう変わったのかは判らないが、幾度も唇を重ね、精神から高められ、愛のある行為だと全身に突き付けられたからかもしれない。 大好きな人に触られることが、気持ちよくて気持ちよくて仕方ないのだ。 『すごい…いっぱい出しちゃった…』 早すぎた射精なのに、量は相当なものだったと思う。軽く舐められただけで達してしまい、最初でこうだと、後々どうなってしまうのかと身震いした。 だって、これだけで終わるわけが無い。 「桜、大丈夫?」 「……ぁ、ん、はい…」 「かわいいね…気持ちいいって顔してる」 「……あきらくぅん…」 汗で濡れた前髪を掻きあげ、顔を覗き込んでくるアキラに、のろのろと腕を巻き付けて甘える。自分と同じように高陽して頬を染めている彼が愛しくてもっと愛されたいと思った。 首筋に顔を埋めると、辛くてセクシーな香りと彼の体臭が鼻を擽り、胸がきゅんとする。 「かわいすぎたから、いっぱい舐めちゃったよ」 「や、やだぁ…」 「本当に嫌だった?」 「………ゎかんないです……」 「分かんない、ね。ふふ」 頭の上で楽しそうに笑うアキラに、髪を撫でられ、額にキスされた。何度もちゅっちゅとキスを落とされ、桜介の瞳はうっとりと酩酊する。大好きなアキラに愛されていることを肌で感じ、躰がとろけていく。 |