∴ 2 鷹臣の逞しい胸や腹が桜介の背中や頭に触れて、彼の卑猥で色っぽい声が後頭部に降り注ぐ。両手は桜介をホールドするようにガッチリと躰を挟んでいて、194センチの巨体に何もかもを飲み込まれていく気がした。 「あぁ!も、やだぁっ!おちんちん、きらい、やら、きらいっ…!」 「おいおい、ンなひでぇ事言うなよ…っ、好きだろ、コレ」 −ずちゅん! 「ひぁ!」 「ほぉら締まった。気持ちーよな?こうされて掘られんの…ん、」 「やぁ、やらぁ、あん!あっ!はぁ…!」 「ちんぽ嫌いなんて嘘言うな…っ、すぐにエロくなるくせに」 「ああぁっ、ふぁ、んっ、あぁっ、あんっ、も、ゆるしてくださ…むり、やら、むりぃ…!」 いやしい水音を立てられながら中を掻き回され、蹂躙されると、底をついていたはずの官能がもう復活して、全身が粟立つざわざわとした掻痒感に襲われる。 腰の奥の方にぐっと力が入り、飲み込むみたいに後孔が収斂してもっとと欲しがった。 「うっ、ひっく、ゆるひて、こわれちゃ、お尻もお、変になっちゃ…っ、」 「いいぜ?変になっても」 「ひっ、ひっく、やぁ!も、やだぁ、おちんちん怖いぃ…!もおしないで…!いやぁ…!……んぁ!はぁ…!」 「…んっ、なあ、俺、メグがガキみてーにおちんちんっつーの、エロくて好きなんだよ…もっと言って?」 「あん!あっ、あ!な、に、なに、そんな…いやっ、やだっ…!」 「だから、おちんちん、好きだろ?」 「あぁ、あっ、ひっく、うぅっ、んん!んっ!」 奥の方が熱くてむず痒くて…力を失っていたはずの自身の陰茎は、射精を求めてすっかり立ち上がっている。快感に溺れてしまっただらしのない躰は、切なく奮えながらも大胆に腰を揺すり鷹臣を求めていた。 嗚呼、最悪だ。こんなことはしたくないのに… これ以上躰がバカになったら嫌だ。何も考えられないくらい快感に溺れ切ったら嫌だ。だから嫌いって拒絶したのに、鷹臣は喜んでからかうばかり。おちんちんって言ってなんて、そんなバカにするような事を言われて桜介はギュッと口を閉じた。 すると、 「へえ、そんな態度とんのかよ…」 「…ぇ?…んっ、」 ぐちゅぐちゅと水音を立てながら律動しまくっていた動きが止まり、静かに鷹臣の陰茎が桜介から出ていく。 長いストロークでずるずると引き抜かれた後は、寂しそうに後孔が陰茎を求めてびくんっと痙攣した。 「え、や、なに、せんぱ…」 「かわいーこと言ってくんねぇからお仕置き」 あと少しで…あと少しで熱く上り詰めた躰は、打ち上げ花火のように儚く爆ぜるはずだったのに。 じんじんと先端を赤く腫れさせる陰茎も、官能のツボを押されまくった尻の奥も、突然の空虚に戸惑っている。 「せっかく気持ち良くしたけど、何かムカつくからおあずけな。イキたかったら自分でシコって見せろよ」 「ぁ、うそ、そんなの…やだ。や…」 「ワガママ言うなよ」 散々出したのに射精したいと疼く浅ましい躰を無理矢理起こされ、鷹臣の目の前でM字に開脚される形になった。大きな手が両膝に乗せられて、体重をかけて固定されてしまう。 そして中心で出したいと震えてるそれを凝視しながら、「ほら」と促してくるのだ。 「や、自分でだなんて…だめ…」 「じゃあこのまんまだな?」 「ひん!」 意地悪にフッと息を吹きかけられて、腰と肩が大袈裟に跳ねてしまう。そんな刺激にすら感じてしまうほど、桜介はもうギリギリだった。 「そのカワイー手でビンビンのそれ握って見せろよ」 「いやです。そんなはしたないこと…ごめんなさ、許して下さい…ひっ、ごめ、なさ…」 「謝んなくていんだよ。オナってるとこ見せろって」 「ひぁ!?あぁ…!」 突然膝で睾丸を擽られ、甲高い声が上がる。それだけで達してしまいそうで、桜介は荒い呼吸を繰り返しながら涙を流してシーツを握った。誘惑に負けて目の前で自慰をしてしまいそうだからだ。 『アキラくん、助けて、アキラくん…』 こんなの嫌だ。もうそれならいっその事… ギュッと、目を瞑ると暗闇の中から朝やけが訪れたかのように光り輝く優しいアキラが現れる。薄い瞼の中ではアキラと桜介が二人だけになれる世界が広がっているのだ。 鷹臣に触られても蹂躙されても、鷹臣に感じてしまっていても、心の中はもうアキラにしか侵入出来ない。この聖域は、三島アキラしか許していない。そこだけは、絶対に穢されないのだ。 だから、大丈夫。 |