熱の条件 | ナノ







『はあ、頭、バカになりそ…』

滑る膝裏を抱え直し、まだ衰えることの無い己のソレをゆっくりと旋回する。味わうような動きをすると、桜介は可愛く鳴いて内壁を奮わせた。

「さくら、暑い?」

朦朧としながら右手を伸ばして汗で張り付いている前髪を上げてやり、出てきた額を撫でた。
ウェーブがかっている柔らかな前髪は、指にしっとりと絡み、心地良い滑らかさを与えてくれる。
彼が女で、髪を長く伸ばしていたのなら、きっと自分は一日中その髪を撫でたり梳いたりするのだろうなとぼんやりと想像する。

「はあ、あっ、す、少し…でも、へいきです」
「ん、俺も…」

そのまま額を撫で付け、どちらからともなく頭を近付けていき、柔らかな唇へ触れ、深いキスをする。少しだけ汗の味がして、桜介と一つになっていると実感すると、なんとも言えぬ官能が走り抜けた。
この中を犯しているのは自分だけだ。桜介は、俺だけが好きなのだ。
そう思うと切なくなったり、嗜虐心が煽られたりして、アキラの陰茎をより大きく育てていった。

同時に、大きくするとキュッと窄めて反応してくるものだから、このまままた達してしまいそうだ。

「んっ、んっ、ふぁ、あんっ」
「んっ、ちゅ、ちゅ…すごい、ナカ、すごいね…あんなに出してあげたのに、まだ俺の欲しがるんだ…」
「あっ、だって、あきらくんが…っ、おっきく、するから…」
「俺の大きくすると、桜は締め付けてくるの?」
「…そんな、知らな…」

桜介の首元に顔を埋めて、尖った鼻先をなめらかな肌に擦り付けながら言葉責めをすると、桜介は羞恥しながらも感じるようで、再び締め付けてくる。
もっともっととねだって引き込むような動きをされてしまい、アキラは奥歯を強く噛んで鼻から息を吐き、ぐっと堪えた。

「桜、俺かなりキてるんだよね…簡単にイッちゃうよ」

苦しげにそう伝え、脚を支えている手を離して、両手を桜介の背中に回し密着する。濡れた皮膚同士がピタリとくっつくのは淫媚で気持ちいい。

「んあ、あきらくん…」
「ん、我慢するけどね。すぐイクのはちょっと恥ずかしいし」
「あきらくん、なんかこれ、深くてっ…あっ、んんっ、」
「うん。桜の好きなところまで届いてる?」
「あっ、やっ…やぁ、だって、ずっとあるの」
「ずっと?…常に俺のがいい所に触れてるってことかな」
「ぁんっ、あっ、も、僕のだって…っ」

あたたかな躰と躰の密着は、感情を昂らせる。悦いのか嫌なのか判らないくらいの快感を与えてくれる。
それに支配されているせいなのか、桜介の呂律はうまく回らず、何を伝えて来ているのかイマイチ解らない。
知的で聡明な彼が、子供のように稚拙な言葉遣いしか出来ないのがいやらしいし卑猥で、アキラの気持ちを満たしていった。

子供をあやすように「何?」と囁きながら少し動けば、簡単に答えを出して甘えてくる。
僅かに腰を揺するだけで、"中のいい所"と、"アキラの腹に擦られている陰茎"が同時に刺激されるということだ。

先走りの液でぬるぬるになった可愛い陰茎はこれでもかと硬くなり、アキラの腹を押し上げてくる。
お漏らししたみたいにびしょびしょになっていやらしく滑るそれが、ちょっとでも腹に擦られるとすぐに爆ぜてしまいそうなくらい、びんびんに腫れていた。

「やぁ!やら、やっ、おちんち、こわれるっ…!」
「っはあ、壊れちゃうの?気持ち良くて…?ンッ」
「やめて、うごかないで、せ、せぇし、いっぱい出てしんじゃ、の…ダメぇ」
「精子出まくっても死なないよ。はあ、こんなエッチになって…悪い子だね。桜は悪い子だよ」
「ひっ、ン、ごめ、なさ…エッチで、ごめんなしゃい…あん!あっ、ああっ!」

桜介も数回達したというのに、まだこんなに欲望に貪欲でいることが嬉しくて、もう我慢出来なくなってしまう。
出口を求めてぐるぐると回っている精液を体内に感じながら、本能のままに動きまくって何度目になるか分からない絶頂を与えた。

「あっ!あぁ〜!ふぁ!あぁん!」

動物のように知性の無い声を上げながら力なく震えて、薄くなっている精液を吐き出す様は、とてつもなく淫媚なのに桜が散る時のような儚さがある。

「も、こわれちゃう…だめ、だめれす…あぁ、ぁん…」

汗にまみれた顔は美しく、それを見るだけでアキラは高まり、彼も射精した。

『好きだよ。好きだ…桜がいてくれれば、もう、なんでもいいんだよ、俺…』

噎せ返るくらいの濃密で甘い香りを発しながら、淫らで美しい姿を曝す恋人に、アキラは何度もキスをしながら、胸の中を支配する切なさを無理矢理押し込めていた。
そうしなければ、もう何もかもを放り出してこのまま彼を連れ去ってしまうからだ。

「はあ、さくら、もっと、もっとシよ?」
「あ、はあはあ、んっ…ぅん、んっ…」

その気持ちを躰にぶつけ、深いキスをして、愛してると彼に伝える。
それなのに、こんなに好きなのに、無情にも恵桜介はアキラの腕の中から去ってしまった。