01.
すきだよ
って、いつか振り向いてくれたらなんて、どこかで期待していたとしても、どこかで可能性は0だと思っていた。君のすきは、皆と同じすきだから、それでも幸せに思えるならそれだけで構わないとさえ感じていた。
君が咲いて僕も、咲いた。
01.今日も同じ毎日が始まる (西谷)
「花子先輩、おはようございます!!」
『んん゛〜……』
「どうしたんすか?唸ってますけど」
『……おはよう!おやっさん!』
「なんすかそれ」
『おやっさんと、ごっつぁん、どっちで呼ぼうか迷ってたの〜ごっつぁんです!』
「どうでもいいんで、ちゃんと俺の名前で呼んで下さい!もう別人だしそれ」
『あー!!可愛い可愛い先輩にケチつける気?ひっどい!』
生意気生意気ーなんて背丈の変わらない俺の後ろに飛び付けば、いつも通りの甘い香りがして口角が上がる。それこそ、今だからこそ日常茶飯に見える景色ではあるけど、
『また朝からキャンキャン吠えて、飽きないのも学習能力が無いのも本当犬並みですね』
『おっはよつっきー!』
「、」
俺の背中からスっと消える体温は、ひらりと隣の腕に移る。
そんなもんばっかり見てると、初めは照れて照れて照れまくってた自分だって負けちゃいられねぇって。自分から暖かい温度を求めるようになった。
『花子先輩、うざい』
『今日もツンツンつっきーは見参だね』
悪態を見せながらも、月島だって慣れた様子でその腕を引き剥がす。
『つっきー、どっちが遅く体育館に行けるか競走しようか』
『馬鹿なの?』
『先に着いたら昼休みにジュースだよ』
『じゃあ遅れて来て主将に怒られるのは花子先輩って事で』
『ひっどい!』
すらりと伸びた月島の背中に向けて、おやつも買ってもらうからーなんて叫ぶ腕を今度は俺が掴んで引っ張る。
「大地さん、怒ったら怖いんで早く行きますよ!」
『おっけーっ』
へらへら歯を見せて笑う、いつも通りの彼女が居て、
それにつられてデカい口を開けて笑う俺が居て、
今日も同じ朝を迎えた。
(今日も相変わらず可愛いっすよ!)
(20180125)
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