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 02.



今年の春休みはチェック入れてたカフェに行って、美味しいケーキを食べて美味しい紅茶とコーヒーを堪能する。その予定はまんまとひっくり返された今、アタシは部屋を大改装していた。


「んー…こんなもんかな」


赤やピンク、黒や白。時には可愛く時にはシンプルなモノを統一感なく並べてた部屋は何かもが青に変わった。確か前にテレビでやってたんだよね、赤は食欲増進の色に対して青はその逆だって。それならとことん食欲抑えて頂こうじゃありませんか、カーテンにもテーブルにもベッドにも全ての青色で!
そして青一色の部屋を見渡して、アタシやれば出来る子だって既に充足感に駆られてると携帯が着信を告げる。


「、蔵から?………もしもし?」

《名前、大丈夫なん?》

「何いきなり」

《いや、3時間前のメール返信無かったし何や悩んでんのかなって思って…》

「あーそっか、もう3時間経ったんだ」


必死で家中から青いモノを探して、それでも足りない分はお店に走ったから…そりゃ3時間くらい軽く経つよね。メール返信が無いくらいで心配してくれる蔵は優しいけ、ど………。
やっぱり優しくなかった。あの文面を思い出すとまた苛々が沸き上がる。


《もしかして何やあった?》

「無いです断じて無いですだから切ります」

《ちょ、いきなり棒読みの返答はあかんやろ》

「何で?ちゃんと受け答えしてんだから別に良いじゃん放っておいて下さい!」

《あー…怒ってんねんな…》

「何それ何それ!まさか自覚あるの?アタシを怒らせたって身に覚えあるの!?あーもう信じらんない!」


あれが純粋な心配だったとすれば百歩譲って許してあげなくもない。だけど乙女に対するあの暴言が敢えてのものなら絶対許せない。っていうか幾ら蔵でも首を絞めてやる…!


《ええから聞いて、ちゃうねんから》

「あーあーあー!もう何も聞きたくない!本当に切るからね!」

《名前、待ちって!》

「あ、そうだ。ついでに言っとくけどアタシ明日から部活行かないから宜しく」

《は、何やそれどういう―――》


蔵が話してる途中だって構わずブチッと切ってやった。それだけ今のアタシは3人の発言を根に持ってて、本気ダイエットするんだからっていう意気込み。


「だけどその前に、と」


まずは、これからストーカー並にしつこく連絡してくるだろう誰かさんから断つ為にテニス部員皆を着信拒否にして…面倒だからこの際アドレスも変えちゃえば良い。最終的には家電に掛かってくるだろうから電話機にも“テニス部からの連絡は全て居留守!全てシカト!”って書いた紙を貼りつけて。
これでアタシの携帯に連絡が来る事はないし、家族の誰が電話を受けても取り次がれる事はない。


「はれてダイエットに専念出来るってもんよ!あーっはっはっはっ!」


ダイエットした後に蔵や光や謙也に会って、皆が驚いて間抜け面をかます事を想像しただけで高笑いが止まんない。さながら脇役・噛ませ犬ポジションな笑いだけどそんなのだって関係無い。
とにかくアタシはあの3人をギャフンと言わせたい一心で、これより苛酷なダイエット生活を始めたのだった。
見てなさいよ馬鹿男達め…!


(20110412)


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