瞳を閉じれば
過った君の甘い笑顔
honest love
series.1 クリスマスプレゼント
メリークリスマス、12月24日に次いで25日。
昨日は外で食事をしたから今日は家でゆっくり過ごそう。そう言って名前が作ってくれたケーキを囲んで幸せな新婚生活真っ只中。
『……ちょう待って。その説明色々と間違うてるんやけど財前?』
「は、何ですか急に」
『新婚生活真っ只中なんは財前やなくて俺と名前ちゃん、やからな?』
「あーそういうん鬱陶しいんでええすわ部長」
『何でやねん!大体クリスマスに邪魔しに来る男があるか!そこは遠慮するとこやで』
「ここ俺の家やし」
『ネームプレート見て来なさい』
『ま、まぁまぁ!光も蔵も喧嘩しないでーっ!』
っちゅう訳でわざわざ律儀に突っ込みを入れる部長はさておき。
名前と部長が結婚して、それからも俺は0720号のこの部屋によう出入りしてた。文句は尽きへん部長やけど今ではまた仕事が忙しいらしく、俺に合鍵さえ渡してくる始末や。泊まり掛けでの仕事も屡、朝早く夜遅いのも日常茶飯になれば1人家で過ごす名前が心配らしい。せやからって他人に合鍵渡すのもどうかと思うけどそれだけ信用されてるっちゅう事なんか。ま、どちらにしろ俺は都合ええんやけど?
「名前、早よケーキ分けて」
『財前は少しくらい遠慮っちゅう言葉を覚えたらどうや?』
「部長はもう少し黙ることを覚えたらどうです?クリスマスやのにムードも何もぶち壊しですわ」
『相変わらずな口やな…』
「どーも」
相変わらずなんはお互い様やろ、わざわざ口にする事はせず手渡されたケーキを放り込んだ。
生クリームがたっぷり塗られたケーキは甘くて甘くて甘ったらしくて、部長が名前にプロポーズしたあの日の事を思い出させる。もしあの時俺もあの人に言うてたら……なんて、答えは変わらへんか。前に一度フラれとる訳やし名前が部長を想う気持ちは今も昔もこれからも、きっと変わらへん。
「……………」
『、光?ケーキ美味しくなかった?』
「ちゃう、デザート欲しいな思て」
『デザート?』
『財前、ケーキはデザートやろ?』
「違いますわ。デザートは、名前やろ?」
『へ、』
『また何を言い出すんや…』
心底呆れた顔をする部長に照れ隠しにハハハッと笑う名前。
この2人を見ると俺なんやちっぽけなもんやなぁって思うけど。せやけどやっぱり、何度も思ったんや。あの人が欲しいって。
「名前、」
『う、うん?』
「クリスマスプレゼント」
『え――――』
『ざ、財前っ!!』
「ほな、そろそろ帰りますわ」
あの人を引き寄せて頬に口唇を落とせば柔らかくて、このままココに居りたくなる。部長に文句言われて、名前に笑われて、その時間をずっと共有したいって。
『はぁ…帰るなら帰るで余計な事せんで帰りや?』
「はいはいすんませんね」
『っていうか、本当にもう帰るの?』
「約束あるから」
『、約束?』
「彼女、待ち合わせしてんねん」
『――――――』
『財、前…?』
「っちゅう訳でお邪魔しましたー」
まぁ、そんな俺もそろそろ前に進まなあかんやろ?
瞠若したままの2人を背に、俺は振り返らず玄関を閉めた。
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結局続編開始ですー!
続編希望のリクエストも頂いてヤル気満々なんですが、部分的なとこを確認する為に読み返していたらもう…恥ずかしくなりました(笑)蔵も光もキャラ崩壊だし文章も今より酷い。当たり前ですがビックリしました。思い入れはあるお話なんですが……!
とまぁそれはまた時間を見付けて書き直し出来れば良いかなぁと思うんですが、今回は光にスポットを当てて書いていきたいと思います。その後の光、行動や心情を書いていけたらなぁと!
良かったらお付き合い下さいませ(^^)
★光からメール(空メして下さい)
(20091127)
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