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白か黒か、
君への気持ちは何色だろう
monochrome mood
mood.15 rainbow
今日先に行くわ
届いたユウ君からのメールに、何でだろうとは思ったけど特別深く考える訳でもなく朝練の為に部室へ向かった。
もし昨日アタシが急に帰った事を怒っているんだったらメールすらも入れてこないはずだから。
「おっはよー!!皆もう来て、…………」
いつも通り、張り切って開けたドアの向こうは外との温度差が凄まじくて、一瞬で凍り付いた空気を感じた。
机に肘をついて眼を細めた蔵、
地べたに胡坐をかいて俯くユウ君、
顔は見せず背中を向けた光。
何か、あったの…?
『名前、おはよう』
「あ、う、ん…」
返事をしてくれたのは蔵だけで、アタシを見るなりニコリと笑顔を作った。
『白石、悪いけど朝練パスするわ』
『ん…』
「ゆ、ユウ君!?」
『名前、アイツ頭痛いらしいから、そっとしといたって』
「だけど、」
『名前先輩、洗濯物溜まってますわ』
「…そ、だね」
あくまでユウ君を追い掛けるな、と言いたそうな2人に頷いて。「どうしたの?」その一言が出てこなかった。
気になるのに、聞いちゃいけないような気がして。
聞いてしまえば、何かが崩れちゃうような気がして。
何も知らないフリが一番なんだって決め込んだ。
『あ、せや。今日な放課後は休みにするから』
「休み?どしたの?」
『たまにはゆっくり身体休める日も必要やろ?』
「そりゃそうだけど、急に…」
『俺も風邪気味やしな、ユウジも頭痛い言うてるから酷くなる前に治した方がええと思うんや』
「……………」
最もらしい理由を並べるけど蔵の真意が本当にそうなのか、完全に納得は出来なくて。
そんなアタシを映して口角を上げていた光を見れば昨日の光景が浮かんで更にうやむやな気持ちを生んだ。
何があって、どうなってるの?
ユウ君の頭痛の原因は何?
光が笑ってるのは彼女と上手くいってるから?
全部が全部重なって不快で、大袈裟に言えば不倶戴天だった。
アタシがこんな風に思う権利なんて無いのかもしれないけど…
□
「蔵、ユウ君戻って来なかったね」
『頭痛、治らへんかったんやろなぁ』
結局何も話せないまま、ユウ君も教室に戻って来ないまま放課後のチャイムが鳴り響く。
HRの時に担任がユウ君は保健室に居るって言ってたから、昼休みには「大丈夫?」とメールを入れたけど返信は無かった。
「アタシ保健室、行って来るね」
『俺も行こか?』
「ううん大丈夫」
『そか、名前も今日はゆっくりし?』
「うん」
いつまでも教室に居る訳にはいかない、ユウ君も心配だし鞄を手に教室を出ようとした時だった。
制服のポケットで振動した携帯。
「、ユウ君…?」
急いで新着メールを開いてユウ君の名前を確認すると、
(名前は俺ん事好きなん?)
そう書かれてあった。
ユウ君らしくない、ユウ君が打ったとは思えないメールに眼を疑って。
だけど、もし昨日の事で何か気付いたなら、柄じゃないけど不安とか抱えてたら…
アタシは直ぐに返信画面を開けて“好き”と送信した。余計な言葉は要らない、伝えたい2文字だけで十分だから。
「、」
そしてまた直ぐに返ってきたメールは“昨日別れた公園まで来い”。
「……………」
アタシは走って教室を飛び出した。
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