明日春がきたら | ナノ


 


 take.02



何があっても君から離れない

そして君も僕から離れられないと思うんだ





take.2 宣戦布告






“助けて!”

横になってたのに、名前からのメールで飛び起きた俺が向かった先には謙也先輩が居った。



「謙也先輩、殴ってしもて堪忍な」

『…あ、いや、ええで……』



右頬を押さえながら謙也先輩は引きつった様な顔してた。

俺がムカついてんの気付いた?



「で、名前に用事って何?」

『え?や、やや、それは…その……』

「…………」



最近部長が謙也先輩に好きな女が出来たんやってはしゃいでた。
それは謙也先輩見た瞬間、名前やって分かったんや。

それにこの慌てて真っ赤になる顔。それ以外に理由なんやない。
は、その顔腹立つわ。



『アタシに用事って何ー?』

『ち、ちゃうねん!用事、っちゅうか…』



見てらへん。



「名前、謙也先輩疲れてるみたいやから帰るで」

『え、でも、』

「また謙也先輩が元気な時に話したらええわ」

『財前、』

「ほな謙也先輩、また明日ー」

『!』



俺が名前の肩を組んで横目で謙也先輩を見ると、口を開けたまま眼をパチパチさせてた。
めっちゃウケる。

謙也先輩、アンタには悪いけど渡す気なんか更々無いねん。今まで名前の傍に居ったんは俺や。この位置は渡さへん。



『光、わざわざごめんね』

「何が?」

『アタシがメールしたから来てくれたんでしょ?』

「……………」



変態が付いてくる!助けて!

そんなメール見たら放っとけるかボケ。



「明日からバイト終わったら連絡して」

『え?何で?』

「迎えに行く」

『光…』



今日みたいな事あったらアカンし、何より外敵がうろちょろしとんは気に入らへんねん。それに、



「お前みたいなんでも一応女やからな」

『一応は余計だし!』

「…名前、」

『何よ、まだ悪口言う、気――…?』

「心配させんな」

『……………』



ホンマに心配したんや。お前に何かあったらどうしよ、って、気が気やなかってん。

名前を引き寄せて抱き締めると、俺の背中に手が回った。



『ごめん、光…』

「阿呆…」

『……でも光が来てくれるって信じてたよ』

「…うん…」



10年近くコイツの隣で幼なじみやってたんや。
謙也先輩、アンタに名前を奪う事が出来ると思う?出来るもんならやってみい。遠慮無しで全力で阻止したるから。





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