sequel.9
Map to happiness (1/2)
素直になれない僕だから
それならせめて幸せの地図を君に届けたいんだ
sequel.9
Map to happiness
「ホンマ甘いわアンタ」
昨日、部長と話をしてもうあの人は大丈夫やと思た。
せやけど、どうしても気になった俺は今日部長の跡を付けてたんや。
部長は吹っ切れてたけど、案の定相手は未だ優位に立ってるような顔してて。
あの女の一言一言が俺を苛つかせた。自分の事しか考えられへん、名前と部長の事はどうでもええ、そんな態度にむしゃくしゃしてポケットに潜めてた煙草に手を伸ばした。
スー、と吸い込むと身体がふわっと浮く様な感覚に苛つく気持ちを押さえた。
昨日は部長に合わせてノリで吸ってしもた煙草やけど、自ら手を伸ばしたんは何年ぶりやろう。
テニスしてたし、よっぽど現実逃避したなる時しか吸うてなかったもんやから、やっぱり身体はこの空気を受け付けんみたいで。
楽になったんも一瞬、途端に頭が狂てしまいそうになるほどの衝動をあの女に怒りとして向けた。
『っ、財前!?』
急に俺が出て来た事に驚いてた部長やったけど、そんなんどうでもええ。
今はただ、この女に俺を怒らせた事を後悔させたかった。
部長のやり方じゃ甘いねん。目には目を、そう言うたやろ俺。
『アンタ、昨日あの子と一緒に居た……』
「河崎梓。お前痛い目見んと分からへん女やな」
『財前、』
「後は俺に任せてくれません?部長は甘すぎんねん」
『せやけど、』
「ええから。アンタは早よアイツんとこ行ったって」
『…………』
名前はアンタを待ってんねや。俺や他の男やない、部長アンタ1人だけを。
悔しいけど俺じゃアカンのや。
せやから、こんな女は手が空いてる俺に押しつけてアンタは行ってやって、名前んとこに。
『分かった、行って来るわ』
部長が走って行った瞬間、この女は顔を歪ませた。
『ちょ、ちょっと!何処行くのよ蔵!!』
「待てや」
『何よ!私はアンタに用事は無いんだから!』
「そら困るわ。俺はお前に話したい事いっぱいあんねん」
『………』
「ゆっくり話ししよやないか、河崎梓…?」
『っ、………』
俺は部長みたいに優しない。
反撃戦開始、と行こうやないか。
「お前、名前の事陥れたいらしいやん」
『何か文句ある?』
「文句……は無いな」
『だったら放っといてよ!』
この強気な態度がいつまで持つんか見物や。
「なぁ、そないな事して自分は安全やとでも思てるん?」
『……え?』
「河崎梓。19xx年x月xx日生まれ、出身は埼玉県xx市、xx高校卒業、電話番号090-xxxx-xxxx、現住所『ちょっと待って!!!』」
「なんや」
『何でアンタがそんな事…?!』
自分の事を探られてると分かってやっと怯んだ顔するこの女。
頭悪いんか?人にした事を自分がされへん思うんがそもそも間違いやねん。
目には目を、歯には歯を。
何か大きな事しでかす時はそれなりの代償があるっちゅーこと、頭いれとけや。
「何するんやったか?名前の個人情報出会い系サイトに載せる?せやったら俺はこの情報、何処に売ったらええ?同じサイトや面白ないねんなぁ」
『ほ、本気で言ってんの…?』
「どうやろな」
『や、止めてよ!そんな事したら私、普通に生活が……!』
「生活がなんや?お前かてやろうとしてたことちゃうんか」
『わ、分かったわよ…あの子には何もしない、から…お願い止めて……』
「……………」
黙らせたらええ、そう思てたのに、急にしおらしくなるコイツを見ると虫酸が走る。
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