story.8
The world that turns around you (1/2)
地球が太陽の周りを廻って公転する
そんな常識を覆してしまいそうなほど
僕の世界は君を中心に廻ってるんだ
story.8
The world that turns around you
「行くで…」
携帯を開けると、そこにはいつものように笑う名前ちゃんと俺の画像。
昨日、あんな事があったにも関わらずこの待ち受けだけは変える事が出来ひんかった。
あの女に見つかってしもたら削除せえ言われてたんやろうけど、そないな事絶対せえへん。
「待っててな、名前ちゃん……」
そこに本人そのものが居てるように俺は笑たまま動かへん彼女にキスをして学校へ向かった。
『あ、来た来た。遅いよ蔵!』
学校へ着くと既にあの女が妙にめかしこんだ様子で待ってた。
“蔵”
お前が呼んだって何も嬉しない。そう呼んでええんは過去もこの先も名前ちゃんだけやねん。
『自分から呼び出しといて遅刻なんて信じられない』
「………」
うっさいな。
遅刻言うても5分だけやん。一々勘に触る。
もしこれが名前ちゃんやったら……
“蔵ー!”
“え?待ったって言っても5分だけだよ!……まぁ張り切っちゃって30分前から来てたんだけど。馬鹿だよねアタシ”
きっとそんな感じやったと思う。
めっちゃ笑顔で俺を迎えてくれるんや。俺も俺でそんな彼女を待たせるなんか野望なことせんかった。
『で?今日何するの?』
相変わらず悪びれた様子もないこの女に溜息が出る。
『何、溜息なんかついちゃって!』
「……お前は、」
『え?』
「名前ちゃんに謝る気はないんか?」
最後のチャンスを与えよう思った。
もしこの女に少しでも罪悪感があって名前ちゃんに謝るんやったら、今までの事は水に流してやってもええかなって。
『は?謝る?』
「せや」
『……アハハッ!意味分かんない!何で私が謝るわけ?』
「………さよか」
それがお前の答えならそれでええ。
その代わり、もう甘い事は言わへん。
『本当何言いだすかと思ったら!蔵って面白いのね』
「呼ぶな」
『え?』
「俺の名前呼ぶなって言うてんねん」
『な、何………?』
こないな事して楽しいか?
人の気持ち無視して引っ掻き回して自分に何が残る?
善悪の区別も出来ひんような女、相手してるほど俺は落ちぶれてへんねん。
「俺は名前ちゃんと別れへん」
『ま、まだそんな事言ってたの…?昨日自分が言ったじゃない、もう会わないって』
「別れる、なんか一言も言うてないわ」
『!!……だから?そうだとしてもそれが何よ、あのサイトに投稿してもいいわけ?』
「勝手にしたらええ」
『!?』
「何があっても、俺があの子を守ったる。そんな脅しなんかもう乗らへんで」
昨日の夜、財前に言われた事が頭に過る。
“アンタが全力で守ったったらええ。俺やって居る”
“そんな事でアイツ泣かすな”
せやな。ホンマお前の言う通りや。何で俺はそんな簡単な事気付かへんかったんやろ。
情けないな…財前が怒るのも無理はない。
寧ろ、怒ってくれて感謝してる。
お前のお陰で目覚めた。俺は名前ちゃんが好き、何があっても彼女を守る。
財前、お前に誓うわ。
彼女を愛して止まないお前に。
『ま、守るって…馬鹿じゃないの?そんなの無理に決まってる…』
「無理やない。簡単や。せやけどな、」
『、?』
「名前ちゃん傷つけた奴は俺が一生許さへん。それがお前みたいな女やとしても、それなりの罪は被ってもらわなアカンな」
『……………』
俺の彼女への想いは生半可なもんちゃうねん。
愛してる。
ホンマに誰より愛してる。例え誰かを犠牲にしても彼女が幸せならそれでええと思うほどに。
「分かったんなら消えて」
『き、えて、って…』
「まだ分からへんのか?」
『わ、分かる訳ないでしょ!そんな事で私が納得するとでも思ってんの!?本当にあの子の名前で投稿するわよ!!』
「…………」
悪魔で強気なこの女に嫌気がする。
再びでかい溜息を吐いて口を開いた瞬間。
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