Sincere love | ナノ


 

 story.7
  timeless (1/2)




貴方が好きなことに変わりはないけれど

他にも大事な人が居るのは贅沢すぎる?





story.7
timeless




光がアタシを思ってくれる事が嬉しくて、アタシの事を考えてくれるのが幸せで、この気持ちを伝えたくて仕方なかった。


もし、光が居なかったら。
もし、光があんな人じゃなければ。
今家に1人で居てもこんなに穏やかではいられなかったから。



「…送信、」



携帯を手に取って新規メールを作成する。
電話帳から“光”の名前を選択して本文を打つ。

“有難う”

そんな一言で済むようなものじゃなくて、感謝の言葉だけじゃこの気持ちは伝えきれない。
だからアタシは、


今日は有難う。
生まれ変わったらアタシは光を好きになると思う


そう文字にした。
それは本当の気持ちだし、もしアタシが蔵と出逢わず光と出逢ってたならきっと光を好きになってから。
今のアタシは蔵が好きで、蔵無しじゃ生きていけないけど…光も居てくれなきゃ嫌なの。恋愛感情は置いて光が、好き。



「あ、返ってきた……、プッ!何これー!」



3分程して返信されたメールは思わず吹き出してしまうほど光らしくて、笑いが止まらなかった。

“阿呆は死んでも直らへんな”

結構真剣に送ったメールだったのにまさかこんな返事が返ってくるなんて。
アタシは直ぐにまたそれを返信した。



「“阿呆で結構です”、と」



送信してベッドに転がると、蔵の実家に行った時の皆で撮った写真が眼に入った。



「…………」



あの時だって、色々あったけど…
光が居たからアタシは蔵の想いを貫けたんだと思う。

蔵が居て、アタシが居て、光が居る。写真だっていうのに笑ってない光だけど本当は笑ってた事知ってる。蔵とアタシが馬鹿な事言ってて呆れた顔してたけど、謙也君だって言ってたよ。あんな楽しそうな財前は貴重やねんなって。

我儘すぎるかもしれないけど…これからも、光と友達で居たい。誰よりも大事で特別な存在のままで居てほしいんだ。



♪〜



そしてまた返ってくるメール。



「えーっと、何々、“阿呆ついでに言うとくわ…”って、それついでなわけ?」



悪魔でアタシを阿呆扱いしたい光らしいけど、それに続く文章に泣きたくなった。


“早いとこ部長に会いに行くんやで。またしょぼくれた顔してたらシバいたるからな”



「分か、てるよ……」



結局なんだかんだ言っても心配してくれてて優しくて。
泣けちゃうくらい愛しくなるメールだけど、溢れてしまいそうな涙をグッと堪えた。



「シバかれたくないもん」



光、有難う。
アタシはもう平気だよ。

蔵にも明日会いに行く。ちゃんと好きだって自分の気持ち伝えてくる。
どうなるかなんて分からないけど、後悔しないように頑張るから。そして1番に報告する。
だからその時は、また“阿呆”って言って笑って下さい。



蔵を想いながら、皆で写った写真を抱えてアタシは眼を閉じた――…





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